2012年12月20日木曜日

大型クラゲ国際ワークショップ

 19日の第9回大型クラゲ国際ワークショップのために、18日夜から沖縄へ。残念ながら20日朝から大学で会議なので、19日1日だけ出席して懇親会も出られずに帰ってきた。ワークショップ初日の19日は、主に2012年の大型クラゲの出現状況とその原因の可能性について、日中韓の研究者が発表した。私は学生のXYJ君を含め3件の発表の司会をした。

 今年は、最近数年の中では黄海のエチゼンクラゲの量が多く、日本でも被害をもたらすのではないかと心配されたが、韓国では被害があったものの、幸い日本に来る量はあまり多くなく被害はほとんどなかった。一つの要因は夏場の風で黄海からあまりクラゲが来なかった可能性が発表された。一方で、我々は、エチゼンクラゲの発生には春先の水温が重要で、今年は冬場の水温が低かったのが春に急に上がったものの、大発生の年ほどではなかったことが関係したのではないかと考えた。XYJ君の発表には、研究やプレゼンテーションの参考になるいろいろな質問・コメントが出た。クラゲの大家のU先生をはじめ意見してくれた多く研究者に感謝したい。

 このワークショップは毎回、日中韓の同時通訳で行われるが、毎回同時通訳の人たちの力量にも驚かされる。英語で行う国際ワークショップとはまた違った暖かい雰囲気のするワークショップだ。懇親会に出られなかったのは本当に残念だ。

 1泊ということで、ついたのは遅かったが、ホテルの近くにあった魚料理のお店「ニフェ―デービル」に。刺身もおいしいうえに、隣のお客さんに泡盛までご馳走になってしまった。本当にニフェ―デービル(ありがとう)。次は仕事を離れて沖縄にゆっくりきたい。


海ブドウ、地ダコ、シャコガイ、タマン(ハマフエフキ)

2012年12月18日火曜日

忘年会等

12月17日。今日は午前中の学内の会議に続き、研究室のミーティングと学生の中間報告、大学院授業の海洋物理の本の輪読、さらには研究室の忘年会と大忙し。本当は海洋学会の将来検討委員会もあったのだが、失礼せざるを得なかった。忘年会はまたまたしゃぶしゃぶ。久しぶりに二次会に学生とカラオケに。留学生たちの日本語の歌がうまいのにはびっくり。


2012年12月15日土曜日

公開講演会

 12月15日はセンターの公開講演会。今回は大気海洋相互作用というテーマで、センターの坪木さんと森本さん、外部から三重大の立花さん、東大大気海洋研の渡部さんが講演した。坪木さんは大気海洋結合モデルによる台風の再現性などについて3次元のきれいなアニメを使って示してくれた。森本さんは台風が通過することによって、台湾近くの黒潮が変動する可能性について、衛星とモデルから示した。立花さんは最近の日本周辺の寒波が北極の氷が解けたことと関連がある可能性についてわかりやすく説明してくれた。渡部さんはエルニーニョという代表的な大気海洋相互作用について基本的なことを解説してくれた。
 いつもながら熱心なシニアの方々がたくさん集まってくれ、多くの質問で時間が延びるぐらいであった。冒頭にセンター長も述べたが、我々研究者の行っていることを一般にわかりやすく説明することは大切なことだ。惜しむらくは、今回も若い人があまり多くなく、今後何らかの形で宣伝をうまくやっていく必要があるを感じさせられた。

2012年12月10日月曜日

共同研究拠点協議会

 12月7日はセンター長代理として、全国共同利用・共同研究拠点協議会総会に。この会議は国立大学にある全国共同利用・共同研究拠点と認定されている研究所・センターの協議会で、名古屋大学では我々のセンターの他に、太陽地球環境研究所と学術情報センターが所属している。文科省から学術機関課長が出席して、特にこれから行われる拠点の中間評価と大学のミッション再定義に関して説明があった。拠点中間評価は全国共同利用・共同研究拠点としてどれだけコミュニティに貢献しているかが、大学ミッション再定義はそれぞれの大学の特色をどう出していくかが問われる。いずれもこれから資料をまとめるのが大変だが、重要である。
 懇親会では他の研究所の人と話をする機会が。学生の時によく行った筑波大学の下田臨海実験所の所長さんとも話をすることができた。彼自身は最近まで別の大学だったため知らなかったが、実験所の懐かしい話が聞けた。また実験をしに行くのもよいかもしれない。

2012年12月6日木曜日

伊勢湾航海

12月4-6日は三重大学の勢水丸で伊勢湾観測。寒波が来ていて風が強かった。
 伊勢湾では、表面採水すると何やらフワフワした塊と砂粒のようなものが。船で積んでもらった実態顕微鏡で見るとフワフワしているのは珪藻のChaetoceros sociles、ゼラチン質の中に群体が入っている。砂粒のようなのもやはり珪藻のCoscinodiscusと思われる巨大な円柱。湾口に近づくとフワフワの塊がドロドロした感じに。すでに増殖期が終わっているのだろうか。バケツの中でゼラチン質はいつまでもフワフワ浮いているが、ドロドロしたものや砂粒状のものはすぐに沈む。三河湾では、これらはあまり見られず、肉眼では見えないMesodinium rubraらしき繊毛虫が多い。これらは、衛星ではどう見えるのか、これらの生物の伊勢・三河湾の生態系の中での位置づけも面白そうなテーマだ。
 今回は北里大学の先生や学生さん、三重大学医学部の先生と一緒だった。勢水丸の方々には本当にお世話になった。風が強い中、学生も頑張って予定通りの観測ができてありがたい。
 前の晩は二等航海士のNさんと居酒屋で打ち合わせ。真珠貝、マンボウ、ウツボと伊勢の珍味がたくさん。

真ん中がC. sociles, 下がCoscinodiscus。100umのメッシュ上。

2012年12月1日土曜日

PEACE/KJWOC

11月28-30日は第6回東アジア共同実験(PEACE)海洋科学ワークショップと第9回日韓海色ワークショップ(KJWOC)を名古屋大学の共同利用研究の一環として開催した。
前者は2年おきに日本・韓国・中国・台湾・ロシアなどの研究者が集まって主に東アジア縁辺海の海洋学の共同研究について話す場で、今回は特に東シナ海で長崎丸でやっている航海の結果に関連した議論を中心に行った。
後者は日本と韓国の交代で海洋光学や海色リモートセンシングに関して話をしている。今回は運用1年を越している韓国で打ち上げた世界で初めての静止衛星(千里眼)海色センサーGOCIに関連して議論した。
当然それぞれの中での共同研究が進むうえで今回のワークショップは意味があったが、今回はこれまで別々で行われてきたこれらのワークショップを一緒に行ったことで、両ワークショップ関連者に情報交換をする場を与えられたことがよかった。
ただ日中関係の悪化のことも影響したのか、中国本土からの参加者がいなかったのは少し寂しかった。



2012年11月27日火曜日

環境省モニタリング

27日は環境省のモニタリングの委員会に出席。震災対応の特別モニタリングが入り、しばらくはそちらが中心だったが今年度は通常と震災の両方のモニタリングがある。通常のモニタリングは今年は東シナ海ということで、すでに10月に行われている。その時にも衛星で中国からの淡水が見えないかの問い合わせがあったが、やはり10月はあまり日本側まで淡水が来ることは多くなく、今年も特になかったようだ。契約がもっと早くすんで、我々の観測を行った7月にやってくれれば、中国からの淡水とゴミが採集できたはずだったが。2009年の日本海、2010年の紀伊沖の結果の公表内容の検討も行う。
後半は別の会社が請け負った震災後のモニタリング。最近は毎年入札なので、会社が途中で変わってしまうのも、継続性があやうく少しこまったものだ。また単年度予算でかつ予算決定が遅いので、非常に厳しい時間スケジュールで行うことになっているのもあまりよくない。このような体制は見直す必要があると思うのだが。

2012年11月17日土曜日

高校生訪問

11月17日、今日は名古屋大付属高校の学生さん1名が、調べ学習の一環で震災漂流ガレキの生態系への影響について聞きに来た。私も専門でやっているわけではないので、考えられる範囲での返答をした。影響といえば、溶出する化学物質による影響、いっしょに移動する生物の問題や、そこに住む生物の生活に物理的に影響するなどが考えられるであろう。一番目は一般的な化学物質の生物濃縮の問題に、2番目は外来種の問題に関連し、3番目はエサに間違えられるゴミの問題や、最近鹿児島大で聞いたウミガメの産卵の妨害のようなことが思い浮かんだ。しかし、震災のガレキはけたたましく量が多く、それが一度に運ばれるところに違いがあり、一般的な海ゴミとは大きく違う問題がある可能性もあるのかもしれない。学生さんは熱心に聞いていったが、これから数か月いろいろと調べ、発表までするそうだ。

2012年11月15日木曜日

GCOM-Cアルゴリズム評価会

今週は本当はインドネシアに出張する予定だったが、いろいろなことがありすぎで、申し訳ないがキャンセルすることになってしまった。
11月14日は、3年後に打ち上げられる予定となったJAXAのGCOM-C/SGLIプロジェクトのアルゴリズム評価委員会があったので、これには参加することとした。各PIやJAXAが開発したアルゴリズムをJAXAの研究員などが実際に衛星データを利用してプロダクトを計算し、他のデータなどと比較して検証するものだ。私の場合は、基礎生産アルゴリズムが評価され、研究室からJAXAに行ったYH君が実際の計算を行ってくれ、それらしい結果にはなっていた。実際には、すべてのデータの流れを再現することはまだ難しいプロダクトも多く、検証データもそろっていないために、評価まで行うのは難しい印象だった。また、どのようなデータで検証するのかわからないプロダクトも多く、課題がある分野もあるように思えた。
これまでのJAXAからの受託研究が今年で終わり、現在来年度からの研究の公募中なので、その申請書も書かなくてはならない。
終わった後は、違う分野の人たちも含め、近くの飲み屋へ。帰りは「最後ののぞみ」となった。

2012年11月6日火曜日

お客様

11月6日、今日は東海大学のT先生が研究室に来てくれた。東シナ海の懸濁物を考慮した大気補正手法をコンピュータに入れてくれるのと、伊勢湾でのクロロフィルaの誤差の問題に関して議論するためである。途中で学生に任せて、私は東シナ海の台風についての会議に。K君の最近の台風による植物と懸濁物の応答について簡単に話す。森本准教授たちのモデルの仕事とつなげると面白そうだ。さらに、伊勢湾に関する打ち合わせに外に出る。こちらもこれからの研究についていろいろ考えさせられる。大学に帰って見るとコンピュータにいろいろ問題があったが、何とか動くようになったようだ。伊勢湾の衛星データの研究の方向性もある程度きまった。T先生ありがとう。夜はみんなでトリトリ亭に。

2012年11月1日木曜日

論文紹介


11月1日、久々の論文紹介。XYJ君が、Decker, M.B. ら(2007) Predicting the distribution of the scyphomedusa Chrysaora quinquecirrha in Chesapeake Bay(チェサピーク湾でのクラゲ C. quinquecirrha の分布の予測), MEPS, 329: 99–113.を紹介。水温と塩分データから統計的にクラゲの分布の予測を行ったものだが、かなり経験的だ。


2012年10月29日月曜日

パーティ

10月26日は名駅近くで研究室のしゃぶしゃぶパーティ。ノルウェーから4か月来ていたEgli Sakshaug 夫妻の歓送会、新たに中国から来た学生のzylさんの歓迎会、そしてこのところずっと大変な騒ぎだった研究室の引っ越しが一区切りしたことのお疲れ様の会だ。Egilさんありがとう。それにしてもこの4か月は早かった。

2012年10月19日金曜日

卒業生

10月19日、卒業生のM君が現れる。10人ぐらいの小さな会社だが、紹介の甲斐もあって、彼の好きな乗船の仕事も増えてきたようだ。会社にも仕事にもとても満足しているようで、何よりだ。相変わらず元気。久々にトリトリ亭に。

2012年10月18日木曜日

論文

大分、さぼっていましたが、最近出た論文の紹介を。

2012 石坂丞二・エコシスワント・山田圭子・牧野高志
 東シナ海・日本海における基礎生産への台風の影響、沿岸海洋研究, 50, 39-44.
 :これは昨年秋の海洋学会のシンポジウムで話をした内容で、台風が基礎生産に与える影響について、我々のグループが最近東シナ海と日本海で行った研究例をまとめたものです。

2012 Yamaguchi, H., H.-C. Kim, Y.B. Son, S. W. Kim, K. Okamura, Y. Kiyomoto, J. Ishizaka,
Seasonal and Summer Internannual Variations of SeaWiFS Chlorophyll a in the Yellow Sea and East China Sea. Prog. Oceanogr. 105, 22-29, DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.pocean.2012.04.004黄海と東シナ海のSeaWiFSクロロフィルaの季節変動と夏の経年変動この論文は、4月29日にも紹介しましたが、特集号だったので、長い間印刷中の状態が続いていたものです。第一著者は私のところで学位を取って、現在JAXAでポストドク研究員です。

Tracing offshore low-salinity plumes in the northeastern Gulf of Mexico during the summer season by use of multispectral remote-sensing data., J. Oceanogr., 68, 746-760. DOI 10.1007/s10872-012-0131-7
(マルチスペクトルリモートセンシングによる北西メキシコ湾の夏季外洋低塩分プルームの追跡)これは北西メキシコ湾の夏季外洋低塩分プルームを観測するために、衛星の青から緑の波長の輝度から光束消散係数を求め、この光束消散係数と塩分の関係から塩分の推定手法を開発したものです。この第一著者は、私の研究室のポストドク研究員だった韓国人で、私と同じTexas A&M大学で学位を取っています。今は韓国海洋研究院海洋リモートセンシングセンターにいます。

  


2012年10月14日日曜日

PICES/CREAMS-AP

10月14日、広島の国際会議場で開催されているPICES(北太平洋海洋科学機構)のCREAMS-AP(東アジア縁辺海循環研究のアドバイザーパネル)に。今回は忙しいので、自分ではPICESはこの会議だけの出席。XYJ君がエチゼンクラゲの発表を。CREAMS-APには、また中国勢がきていない。日韓ロの活動状況報告の他、日本海のステータスレポートの状況、東シナ海のプロジェクトについての今後の展開について議論。東シナ海は今後研究のレビューを進めていくことに。中国との付き合い方が難しいが、何とか進められれば。APの後はその内容をMONITORグループに報告。夜はMONITORのメンバーと居酒屋に。

2012年10月13日土曜日

全国大学附置研究所・センター長会議第1部会

11・12日はセンター長の代理で、京大宇治おうばくプラザで全国大学附置研究所・センター長会議第1部会に出席。1日目のシンポジウム「新時代を拓く科学と技術:環境・エネルギー・材料」では、研究内容の近い九大の柳さんが講演。我々の日本海の衛星データも紹介してくれた。宇宙太陽光発電所の研究は以前から話は聞いたことのある壮大な構想だ。その後、文科省研究開発局、学術機関課の人が最近の状況について報告。大学組織の目的再定義が大きな話題だ。2日目の議論も急遽再定義に関する議論が中心となった。各大学組織が個別が見直される中、全国共同研究拠点の意義をどう打ち出していくかが大切な問題だ。
せっかく宇治に来たので、少し早起きしてここへ。

2012年10月9日火曜日

引越し2

今日からは実験室も引っ越し。オフィスも実験室も当分落ち着かない。6階のオフィスのリフレッシュコーナーは絶景です。オフィスに使ってしまおうか。

2012年10月3日水曜日

引越し


10月3日、今日で3年間半住んでいた、地球水循環研究センターのビル(旧水質化学研究所、水圏科学研究所、大気水圏科学研究所)ともお別れ。改修工事のために、われわれは高等総合研究館6階に来年3月まで仮住まい。その後、太陽地球研、エコトピアと一緒に新しいビルに移動する予定だ。きれいになるのは良いが、大変だ。これで長崎大学以来何回目の引っ越しだろう。その割に片付かない。
3年半でもいろいろあった。
仮住まいの口頭研究館と新築中の建物。

2012年9月27日木曜日

乗船実習

9月25-27日。三重大学勢水丸で伊勢湾・三河湾に学部生の乗船実習。主任は新任の角皆潤さん。学部生の人数が少ないのは問題だ。少し工夫する必要がありそう。船に乗れるなんてそうはない機会なのだからぜひ経験してほしい。

三河湾の水がやけにきれいで、海底まで透明度があった(船員さんに聞き返された)!外洋の水の流入か、負荷量削減の効果か?そうは行っても近くの測点ではヌタ状物質が浮いていた。東シナ海では淡青丸に二人学生が乗船しているが、台風が近づいていて大丈夫だろうか?

台風から逃げてかJAMSTECのかいようが三河湾に

これは大漁間違いなし

2012年9月18日火曜日

ロンドンからソウルへ

9月12-16日にさる委員会のためにロンドンへ。おかげで今回は海洋学会秋季大会に出席できず。学会へはSQW君とHM君が出席ポスター発表。数日間ぶっ通しで英語の議論、かなりハードだ。

時間が少しできたので、自然史博物館だけは見に行った。ダーウィンセンターでは、標本をなぜとるのか、なぜ論文を書くのか。論文を書くということはどういうことかまで説明し、実際に働いている研究者を観察できるから驚きだ。長い歴史だけではなく、最新の研究やその進め方についての教育の場となっているのには感心。
植物プランクトンの中には落ちにくいように形が変わっている種類があるという実験展示

9月17・18日はPICESの日本海の状況報告書改定のための委員会でソウル大学に。ロンドンから夜帰ってきて朝出発のため、家に帰るのも大変なので、中部空港近くで1泊。

PICESの日本海の状況報告書は昨年、書き上げてもう1年がたってしまった。他の委員会からのコメントに合わせて、改定版は大体できているのだが、呼称問題で出版の見込みはないので空しい。かなり良い出来の報告書なのに、政治的なことで日の目を見られないのは本当にもったいない。旅の疲れか、食あたりか?2日目はフラフラで帰ってきた。

朗報があった。SQW君が学会のベストポスター賞に。春季大会のKittyさんに続いて2回連続の快挙だ!
ソウル大にて


2012年8月23日木曜日

院試

8月22・23日は院試。当研究室からは現在研究生の、中国からの私費留学生Kittyさんと、モザンビークからの国費留学生MERさんが受験。二人とも、英語、専門、面接ともに良い成績で合格。来年春からは博士前期の学生となることになってなによりだ。

2012年8月12日日曜日

鹿児島大集中講義

8月8‐11日は鹿児島大学理学部で集中講義。学部向けの地球環境科学特別講義と院生向けの特別講義。8日昼についてから11日午前中までみっちりとハードスケジュールだ。海洋学の基礎、衛星リモートセンシングの基礎から、有明海や東シナ海の環境問題まで取り上げた。興味をもってくれたと思うのだけど。
7月の航海での海ゴミの話をしたところ、鹿児島の浜にも多くの海ゴミが流れつき、それによって孵化後のウミガメが被害をこうむっているとのことを聞いた。
機会を作ってくれた鹿児島大学に感謝。

2012年7月28日土曜日

対馬・五島沖航海

 7月18日から28日は長崎丸で対馬・五島沖の航海に行ってきた。例年、韓国の経済水域に行っていたが、今年は都合で行けなかった。名古屋大、長崎大、九州大、富山大の他、中国海洋大学、華東師範大学が乗船し、日本の大学を含め全学生の半分を中国勢が占めた。
 対馬水道ではエチゼンクラゲが何匹か出現し、今年は大発生の可能性が心配された。五島の南西では大量の浮遊ゴミと遭遇。すくってみると中国製。お粥のレトルトの製造が今年だし、塩分も低いので、今年の雨で流されてきたようだ。これには中国人たちも驚いていた。
 今回も船のスタッフには本当にお世話になった。感謝。


2012年6月28日木曜日

Egil先生

6月28日 今日からノルウェー工科大学のEgli Sakshaug博士が客員教授で奥さんとともに来日。4か月の滞在予定だ。彼は植物プランクトンの生理生態学で有名な学者だ。名古屋大にもしばらく滞在していたし、以前長崎大学に来た時にも議論をした。昨年も呼んでいたのだが、病気で1年延びてしまった。でもっ今年は元気になってきてくれた。学生の刺激になることも期待している。


2012年6月24日日曜日

卒業生

6月24日、先週、今週と卒業生のST君に来てもらい、投稿中の論文を進めた。かなりハードルの高い雑誌ではあるが、かなり興味を持ってもらっているようで、頑張れば受理してもらうこともできそうだ。ST君は博士号取得後、派遣社員として全く違う分野の民間会社で働いている。忙しい中で時間を見つけて作業するものとても大変だが、頑張ってほしい。

2012年6月16日土曜日

富山湾プロジェクト

6月15日は富山湾プロジェクトの会議で再び富山に。今日の目玉はI社Hさんに、沿岸の富栄養化に関連した生態系モデルの動向について話をしてもらった。プロジェクトの結果など富山湾の状況も含めて、とても分かりやすくまとめてくれた。面白かったのは、望ましい湖の姿を各地方自治体が模索始めているとのこと。宍道湖では五感で感じられる湖、霞ヶ浦は泳げる湖、琵琶湖では鮒ずしの作れる湖などユニークだ。確かに海もこのようなキャッチフレーズがそれぞれで必要あるとよい。

2012年6月9日土曜日

東シナ海研究集会


2012年6月8・9日に地球水循環研究センター会議室において 東シナ海陸棚域の鉛直過程と物質循環 という研究集会を開催しました。名古屋大学地球水循環研究センターと九州大学応用力学研究所とで共同で行なっている東シナ海の生物生産への長江希釈水の影響に関する研究の状況をまとめ、2012年7月に予定されている東シナ海航海の計画を策定する目的で行ないました。また、周辺海域に関する研究についても発表してもらいました。参加者は学外10名(うち九州大学5名、長崎大学2名、富山大学2名、西海区水産研究所1名)、学内14名の24名でした。
 まずこれまでの地球水循環研究センターと九州大学応用力学研究所の関連した研究集会や航海、関連の国際的な動きなどのまとめの発表(石坂・松野)がされました。そして、前半として、日本海の低塩分水とエチゼンクラゲの関係(千手)、東シナ海の亜表層クロロフィル極大への成層や光環境の影響(松野)、亜表層クロロフィル極大の下の海底乱流混合層(遠藤)、乱流混合層と生態系モデルを利用した日本海前線でのクロロフィル極大(吉川)など、生物と関連した物理環境に関しての話題提供がありました。
後半は、亜表層クロロフィル極大の厚み(張)、東部東シナ海表層における一次生産の季節変化(長谷川)、有機・無機の溶存態・懸濁リンの分布(山口)、亜表層の栄養塩分布(武田)、粒子状有機物の沈降過程への長江希釈水の影響(鋤柄)、衛星観測にむけた植物プランクトン群集の把握(石坂)など、生物・化学的な話題提供がありました。
これらから、これまで蓄積したデータを再解析することの重要さが再認識され、特に亜表層クロロフィル極大の大きさや厚さ、水柱の植物プランクトン群集、栄養塩、沈降フラックスなどの相互関係について、長江希釈水の有無や光環境を含めた物理環境とともに、その時間的・空間的な変動に着目してより詳細に解析する必要性が明らかとなりました。
これをもとに、7月に予定されている対馬沖の長崎大学練習船による航海と、9月から10月にかけて黒潮域から韓国経済水域内で行うJAMSTECの淡青丸の観測について計画を策定しました。

2012年6月7日木曜日

ゼミ等

6月7日はゼミ。先週に引き続き、衛星データから植物プランクトン群集を出す試みの論文を学生が紹介した。いろいろとやられていはいるが、まだ問題がたくさんありそう。

ゼミの後は1週間衛星の勉強をしに来た、滋賀県立大の学生さんのYさんが帰るので、研究室で軽く一杯。前回に続いて鮒ずしの残りを。留学生は頑張って食べたが、1名は思わず笑い出し、1名は声も出ない。Yさんも初体験とのことで、一口でギブアップ。

2012年6月2日土曜日

琵琶湖観測

6月1日は滋賀県立大学との共同研究の一環で、琵琶湖の観測に行った。滋賀県立大は琵琶湖のすぐそばで、臨湖実験施も観測船も備えているうらやましい環境だ。海洋が中心の私には、観測しても塩気がないのはとても新鮮だった。比較的近くのため、観測後帰ってきて濾過作業。下から見ると薄曇りだったが、やはり衛星データは残念ながら観測域は雲でマスクされているようだ。この共同研究で何とか琵琶湖でも海色(海ではないが)衛星データが利用できるようにしたい。
せっかくなので、滋賀名物の鮒ずしと赤コンニャクを買って帰り、分析作業後に研究室で一杯。鮒ずしは明けただけでは意外と臭くなかったが、食べてみると口に広がる独特のチーズのような味。私とPDは結構気に入ったが、学生たちは軒並み敬遠。信長が作らせたという赤コンニャクは、見たところまるで生レバーのようだが、あっさりしていておいしかった。
観測船やっさか。やっさかは地名からきているそうだ。
琵琶湖名産の赤こんにゃく、鮒ずし、小鮎の甘露煮

2012年5月25日金曜日

日本地球惑星連合大会

5月25日は日本地球惑星連合大会で、台風の生物影響に関する招待講演を行った。日本地球惑星連合の大会には初めて参加したが、さすがに気象や海洋だけではなく地質系も含んでいるので、なかなか大きな学会のようだ。今回は忙しかったので、台風のセッションだけに参加。台湾からII Linさんは、衛星を利用した台風の一次生産への研究でも、草分けだが、とても元気で明るい女性だった。大気海洋研のYNさんの培養の仕事もなかなか面白くなってきた。

2012年5月20日日曜日

第2回海洋への気候変動国際シンポジウムin 麗水


 5月14日から20日まで第2回海洋への気候変動の影響の国際シンポジウムに出席するために、釜山からバスで麗水へ。会場は海洋博覧会会場の中だ。私は「気候変動と人為的な影響:長期の物理、生物地球化学と生態学的パターンへの単独・複合影響」というセッションで「黄海・東シナ海のクロロフィルaの変動への長江流入、堆積物の再懸濁、富栄養化の影響:新しい衛星データセット」という発表を行った。いろいろな人から考えさせられるコメントを。これが学会の良いところだ。基調講演も豪華で、面白いものばかりであった。
いつもながら韓国のKRさんのホストでPICES/CREAMS-APの会議も開催された。多くの研究者が携わって作った大作の日本海の状況レポートは、相変わらず名称問題で棚上げされている。このようなことで、レポートが出ないのはもったいないが、日本海全体の名前を避けて、海流系の名前で出そうという私のアイディアは、韓国の研究者には受け入れられない。内容的にはうまくできたので、黄海・東シナ海もやろうということに。こちらにコーディネーションの宿題が。また7月の共同航海や、11月に名古屋で国際ワークショップを行う提案も行い日程が決まった。
少し抜け出して、海洋博にも。噴水とレーザーを駆使した夜のショーはなかなかのもの。テーマパビリオンはそれなりに見どころがあった。だがそのほかいくつかいったパビリオンは日本館も含めて、正直がっかり。震災の影響はわかるが、日本はもう少し頑張ってほしかった。麗水の町も少し散歩できた。特に市場は面白い。

海洋博覧会上の噴水レーザーショー。海を守ろうというストーリー。


市場に何とアメフラシが。

2012年5月13日日曜日

フェリー観測

5月13日に九州大学との共同研究で、フェリーでのモニタリングのクロロフィルの検定のため、博多から釜山へのニューカメリアフェリーに乗船した。昼出港して夕方には釜山に到着する。以前乗船した下関から青島へのフェリーと比較するとよく利用されているようで、かなりきれいだ。エンジンルームのエンジン冷却水パイプに取り付けた水温・塩分・クロロフィル蛍光高度計の近くから、定期的に採水し、濾過して濾紙を持ち帰って後で分析する。今回は台湾海峡で同様のモニタリングを行っている台湾国立大学の研究者と一緒に処理をした。往路は昼間で蛍光データが安定しないため、夜中の復路のデータを実際には利用するが、私は麗水で行われているシンポジウム出席するために復路は乗船しなかった。後で、台湾の研究者が送ってくれたデータと衛星データを比較したところ、きれいに対応し、対馬の東側に低温高クロロフィルの湧昇水塊が見られた。雲があると衛星は観測ができないため、このような現場での連続観測は大切だ。
夜は韓国水産研究院に勤務している長崎大と九大出身の韓国人研究者と打ち合わせ。韓国の人気のお酒、百歳酒の直営レストランはなかなかおしゃれで、おいしかった。
熱く、うるさく、ほこりっぽいエンジンルームの入り口までは、
麗しいチマチョゴリの美人が案内してくれた。
15日の衛星クロロフィル画像。
対馬の東側の渦でクロロフィルが少し高いのが、フェリーでも観測できた。

2012年5月10日木曜日

お客さんとゼミ

5月10日今日は午後お客さんとセミナー。
お客さんは才野さん時代のこの研究室出身、滋賀県立大の後藤さんと卒研生。センター計画研究での共同研究で琵琶湖の植物プランクトン変動をリモートセンシングで研究する予定だ。滋賀県立大はすぐに琵琶湖に出られるよい環境のようで、今後の共同研究が楽しみだ。
セミナーは、少し古いがFuruya et al. (2003) Phytoplankton dynamics in the East China Sea in spring and summer as revealed by HPLC-derived pigment signatures. DSR-IIをKittyさんが発表。HPLCで東シナ海の植物プランクトン色素を測定し、それをCHEMOTAXという手法で種類ごとの割合にした論文だ。今後我々のデータとも比較していくことになる。


2012年4月29日日曜日

最近の発表

最近FBも始めたので、ブログをさぼり気味で反省。最近の研究に関連した発表。


 4月29日の読売新聞に以前このブログでも使った東シナ海のアオノリの写真が使われた。東シナ海の環境の変化を表している。
 
 大分前に特集号の編集長からは受理通知をもらっていたが、なかなか掲載されなかった山口君の論文がウェッブ公開された。黄海・東シナ海の衛星クロロフィルの季節変動と夏の経年変動を議論している。東シナ海の広い海域で夏に長江の影響があること、黄海では長江の変動とは別に徐々にクロロフィルが増加して、富栄養化の影響の可能性を示すことを指摘している。
Yamaguchi, H., H.-C. Kim, Y.B. Son, S. W. Kim, K. Okamura, Y. Kiyomoto, J. Ishizaka,Seasonal and Summer Internannual Variations of SeaWiFS Chlorophyll a in the Yellow Sea and East China Sea. Prog. Oceanogr. DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.pocean.2012.04.004
(黄海と東シナ海のSeaWiFSクロロフィルaの季節変動と夏の経年変動)



 学会前に頼まれた、北太平洋でのセジメントトラップでの粒子沈降量のデータに対応する、衛星基礎生産の時系列を利用した論文が受理された。基礎生産の変動は基本的にとても粒子沈降量と対応しているようだ。
Yamamoto, M., A. Shimamoto, T. Fukuhara, Y. Tanaka, J. Ishizaka  Glycerol dialkyl glycerol tetraethers and the TEX86 index in sinking particles in the western North Pacific, Organic Geochemistry.(西部北太平洋の沈降粒子中のグリセロールジアルカリグリセロールテトラエーテルとTEX86)

2012年4月23日月曜日

大型クラゲ国際共同研究会合

23日は横浜で大型クラゲの国際共同研究に関する年度初めの会合。昨年は中国の長江河口の北側で、世界で始めてエチゼンクラゲのエフィラ幼生が採取されたことは大きな成果であった。6月下旬に採取された1-2cmの個体はエフィラになって2週間ぐらいということで、6月上旬にエフィラになったと考えられるそうだ。やはり長江河口の北側の沿岸域から来ているのだろうか。しかし、韓国沖でも発生している可能性もまだ高い。ここ2年間は大発生がなかったので、それ以外の面ではなかなか研究が進んでいないのが実情だ。われわれの水温仮説では今のところ黄海は低温なので、今年は大発生しないのではないかと考えているが、今後も注意深く観察していく必要がある。まだまだ予測するには、ほど遠い知識しか得られていない。
年末の報告会は、朝一の自分の発表だけですぐに大学に戻ったが、今回は一応一通り話しを聞いてからすぐに大学に戻って別の会議に。もう終わっているかと思ったら、ついた19:00過ぎからさらに2時間以上と長引いた。震災がらみでテーマは違うが、科学でできる予測が十分でないところで、どのように対策等に反映させるか、問題点は似ている。普段からいろいろなレベルでの研究が必要である。

2012年4月18日水曜日

NOWPAP/CEARACフォーカルポイント会合

4月17,18日は富山でNOWPAP/CEARACのフォーカルポイント会合。10年前に赤潮とリモートセンシングで始まったが、徐々に富栄養化と多様性にその焦点が移りつつある。ただNOWPAP自体は日中韓露4カ国でそれぞれにRegional Active Center (RAC)があるため、それぞれの役割分担が大切だ。一方で、その活発さや進め方には大きな違いがある中で、どのように今後進めていくか課題は多い。ともすれば、新しい問題に目が行ってしまう中でしっかりした活動を続けるにはどうしたらよいのか悩ましい面も多い。本来はバルト海を囲う国々のように、しっかりとした条約に基づいてできればよいのだろうが、いろいろな意味でまだまだ難しい。少なくもここに集まる代表レベルではせめて心を通い合わせたい。環境省からこられる所長もどんどん変わる。これで5人目だったか?


2012年4月11日水曜日

花見とセンター新歓

4月10日 お昼はセンター脇の桜の下で花見をしながらみんなでお弁当を。話題の一つは今年の桜の色が薄く、白いということ。どうしてだろう?
夜はセンターの新歓を鳥謹で。今年は大気海洋相互作用のTさんがセンターの研究員として来てくれた。大気グループと海洋グループの結びをしてくれることが期待できる。珍しくほとんどのスタッフが集まってくれた。林学系のK先生に聞いたところやはり温度によって、花の色も変わる可能性があるとのこと。今年は低温の影響だろうか。海の植物プランクトンのブルームも今年は違うのだろうか。その後Tさんと二人でベルギービールを。新しい研究の可能性も。

2012年4月7日土曜日

新歓

4月6日は新人歓迎会。今年は大使館推薦の日本国奨学金でモザンビークからMさんが来てくれました。研究室としてはアフリカ系は初めてでますます国際化します。気さくで明るい感じの人ですぐに日本語もうまくなりそうです。豚が好物ということで、歓迎会は名古屋駅のしゃぶししゃぶいちばんへ。

2012年3月30日金曜日

海洋学会春季大会

3月26日から30日は筑波大学で日本海洋学会春季大会。26日は沿岸海洋シンポと震災シンポ。昼休みと夜も沿岸海洋部会の事業部会、委員会と忙しい。沿岸海洋シンポは海洋前線に関してで、生物現象と密接に関係しており面白い。昔やった前線のシンポの紹介に自分の名前を発見、修士の仕事で、もう大昔だ。

27日にも震災のセッションがあり、私も津波前後の濁りとプランクトン量の衛星データに関して発表。津波の後に沿岸はかなり濁りが増えたことや、茨城沖に渦ができていて、これが放射能を含んだ物質の輸送に重要そう出ることを紹介した。懸濁物や渦に関しては、研究協力の話が進んだ。夜は評議委員会。

28日午前中は衛星関連の打ち合わせ。ポスターセッションでは、研究室の学生さん二人、植物プランクトンの蛍光で種類を分ける話でKittyさん、エチゼンクラゲに関連させて黄海・東シナ海の春の植物プランクトンの変動に関してXYさんが発表。午後は総会と受賞式。宇田賞は柳さんと才野さん。学会賞は津田さんで受賞後の講演も人柄が出ていてとても面白かった。夜は懇親会でなんとKittyさんがベストポスター賞をもらった。2次会は津田さんのお祝いに。

29日は主に東シナ海などの発表を聞く。我々のグループの研究員のSCさんは、セジメントトラップ実験の結果を発表した。環境研が行っている赤潮種の水槽実験の話は面白かった。昼はJO編集委員会、夜はJAMSTECの物質循環のグループと一緒に。

30日はブレークスルー研究とCRESTのシンポジウムを行き来。どちらも、学会としての今後の研究の方向を決めていくうえで大切だ。

筑波大学は自分の母校で、35年前に一人生活を始めた場所だ。なつかしさで1,2年生でいた宿舎と3年から修士の時に住んでいたアパートまで行ってみた。宿舎はともかく、あのおんぼろアパートがさらにおんぼろになって、周辺は開発されているのにまだきちんと存在して住んでいる人がいることには驚き。
ベストポスター賞をもらったKittyさんと。

35年前に住んでいた宿舎。当時は二人部屋だったが、今は一人部屋らしい。

2012年3月9日金曜日

富山湾プロジェクト

3月9日は富山湾プロジェクトの委員会のために富山へ。昨年の委員会はちょうど3月11日だった。揺れた直後に体調を崩したのは関係があったのかもしれない。富山湾プロジェクトももう8年分のデータがたまってきたので、まとめなくてはならない。どうも分析の精度が心配だ。やはり自分達でもやって比較するしかないか。

2012年3月4日日曜日

バリ島でのIOCCG


2月27日からIOCCG(国際海色調整会議)のためバリ島へ。国際海色調整会議という名前は変だが、様々な国で打ち上げられる海色リモートセンシングのセンサーについて、技術面のサポートや研究や教育の推進を行う20名程度からなる研究者の組織だ。毎年いろいろな場所で開催されるが、今回は以前JAXAにいて、現在山口大学特任で、ウダヤナ大学にいる日本人、TTさんがホスト。
当然今回の目玉は韓国の世界発の静止衛星海色センサーGOCIだ。アメリカのセンサーMODISもそろそろ老朽化が進み、新しいVIRUS/NPPはまだ問題が多いらしい。それでも、アメリカ、ヨーロッパ、インドはあきらかに研究段階から実用化に向けてのフェーズに入ってきている。2回衛星を失敗している日本としては次のGCOM-Cでしっかりやりたいところだが、打ち上げがどうなるかは?今回、私はNOWPAPがロシアで行ったトレーニングについて紹介した。



何と朝の会議で会場にいくバスが来ないので、ホテルの前で会議を始めた。

2012年2月22日水曜日

GCOE中国ORT発表会

2月22日はGCOEの中国ORT(On-site Research Training)の田舎班、海班の発表会があった。田舎班は実際に中国の郊外に行き、人々の生活の変化や水質などを調べてきた。水田がなくなり、養殖場がどんどん増えていることには驚いた。これは周辺の都市化で上海ガニの需要が高まったことによっているようだ。上海ガニにはトウモロコシを餌にしているとか。海班は昨年長崎丸で東シナ海に行った時の化学分析結果と台風による風による水温や混合層の応答に関して、二人の学生が発表した。彼らは海洋分野ではない学生で、船には初めて乗船し船上でも頑張っただけでなく、その後の分析・解析でもとても頑張った。低塩分水でTNが高いことや、台風の影響の風で潜熱フラックスが増加して低温化した可能性など興味深い。博士後期課程であることもあるが、みんな短期間によくこれだけまとめたものだと感心させられた。

2012年2月21日火曜日

JAXA-水研発表会

2月21日はJAXAと水研センターの共同研究発表会。
前半は水研センターでの最近の研究の発表。中央水研のクロマグロの遊泳モデルに衛星クロロフィルを入れる話は面白いが、やや疑問な部分も。沿岸ブイと複合衛星の水温の比較は意外にあっていて驚いた。西海区のKT君は、北西太平洋の春季ブルームの経年変化についてまとめた。魚の生存とつながればとても面白くなるはずだ。西海区水研のKYさんは東シナ海で問題となっている渦鞭毛藻類の分布について面白い発表をした。植物プランクトン色素の分布に関しては、こちらでやっていることともつながるので、ぜひ一緒にやる方向で。やはり西海区のSH君は、溶存有機物の色からもとめた塩分分布についてで、これは物理面とつなげるともっと面白くなるはずだ。
後半はJAXA側でまず、MH君がGCOM-Cの状況や水研のデータとの比較等について。YH君は陸奥湾のクロロフィルと衛星の比較で、秋が合わないとのやや驚きの結果を。私は、PIとして赤潮アルゴリズムと韓国の静止衛星の状況について話した。東海大のTMさんは、濁った海域での大気補正手法について話をした。これが早く実用化してほしい。
こうやって見ると、私も教育に関係した人が多く頑張っており頼もしい。
懇親会はおしゃれなTokyo Barで。

2012年2月20日月曜日

環日本海環境委員会

2月20日はNOWPAPの活動への助言のための、環日本海環境協力センターの委員会へ。当初、有害藻類ブルームとリモートセンシングから始まったこの委員会も、徐々に富栄養化と生物多様性にシフトしてきているが、今回は有害藻類ブルームとリモートセンシングの2回目が出来上がった。リモートセンシングに関しては、この5年間で韓国の静止衛星が上がるなど大きく状況が変化し、応用も広がってきていることが実感できる。また富栄養化の1回目のレポートもできて、今後この活動は海域全体の評価に続いていくことになる。センターではリモセン技術で、三陸の藻場調査もおこなっており、これも応用に発展が期待できそうだ。

2012年2月18日土曜日

赤潮プロジェクト最終打ち合わせ


2月17日は赤潮プロジェクトの最終打ち合わせを、別府の大分県農林水産技術センターで行った。大分県、東大、瀬戸内水研に参加してもらったこのプロジェクトも2年半が終わってしまう。この2年間は大分県では大きな赤潮が起きず漁業者には幸いなことであったが、研究としてはやや物足りない部分もある。しかしそれでも、経験的でまだ検証と改良が必要ではあるが珪藻と有害な藻類を分ける手法を開発し、ホームページで公開し、現場での効率的な観測方法も確立された。またプランクトンのグループを光学的に判別できる可能性についてある程度のめどがついてきた。さらに赤潮のモニタリングに衛星を利用することを各県の水試レベルでかなり興味を持ってもらい、ネットワークが広がったことは成果として大きかった。また大分県ではまだ様々赤潮を観測する機会がありそうで、マイクロスケールの現象の研究可能性について話ができたこともよかった。もちろん、このプロジェクトで別府の温泉に何回かいけたことも楽しかった。またぜひこのようなプロジェクトの機会を作りたいところだ。


別府の海地獄。もうもうと出る湯気の下に美しいエメラルドグリーン。

2012年2月7日火曜日

東シナ海の循環と混合に関する研究集会



201226日(月)・7日(火)に九州大学応用力学研究所において、東シナ海の循環と混合に関する研究集会を開催した。出席者は名古屋大学地球水循環研究センターと九州大学応用力学研究所の他、愛媛大学、長崎大学、富山大学であった。6日は物理過程と生物・化学過程の2つのセッションを設け、物理過程では混合層中での乱流エネルギーの見積もり、黒潮への渦や台風の影響、海洋の海上風の励起に関して、生物・化学過程は主に亜表層クロロフィル極大と栄養塩躍層、低酸素水塊、栄養塩の循環に関して話題提供があり、議論を行った。7日は今年予定されている共同研究航海に関して打ち合わせを行った。

2012年1月12日木曜日

第8回日韓海色ワークショップ、GOCIワークショップ

1月10-12日は韓国海洋研究所(KORDI)で開かれた第8回日韓海色ワークショップと韓国の静止衛星「千里眼」の海色センサーGOCIの国際ワークショップに参加した。 地球水循環研究センターの共同利用計画研究「リモートセンシングを利用した沿岸域の流動・生物生産・物質循環に関する研究」の一環として 、日本からは名古屋大学、北海道大学、東京大学、広島大学、東海大学、JAXAなどから11名が、韓国からは海洋研究院以外に極地研究所、慶一大学校、南ソウル大学校などから多数が参加した。私と北大の斎藤誠一さんはGOCIのPIなので、GOCIのワークショップで発表し、1日目のKJWOCではGOCIだけではなく一般的な海色に関しての話題を中心に議論が行われた。これらのワークショップを通じて、衛星リモートセンシングの技術的な観点および様々の応用が議論され、特に日本と韓国の具体的な研究協力体制が協議された。
日本と韓国で交互に毎年開催しているこのKJWOCも今年で8回目となり、毎回打ち解けた雰囲気だ。私のところでPDとして働き、韓国極地研に就職したKim Hyun Cheol博士は学生を2名連れてきて発表させており、若手が伸びていることが明らかだ。KJWOCを一緒に始めたKORDIのAhnさんも定年で特任扱いで、次のRyuさんが引き継いでいる。Ahnさんの息子さんも新たにこのグループに入って仕事を始めており、本当の世代交代が起こりつつあるようだ。
GOCIは世界で初めての静止衛星での海色センサーということで、面白い研究が期待される。ただ、まだまだキャリブレーションが甘く、今回の私の話は「韓国料理のように辛口だが、健康的でGOCIのためになる」と前置きをして、現場観測との比較データを紹介した。







2012年1月8日日曜日

公開講演会

1月7日新年早々にセンターの公開講演会。私が担当ということで、テーマは「宇宙から海を観る・測る」として、北大低温研の江淵さんに「大気海洋相互作用を測る」、センターの森本さんに「海流を測る」、私が「プランクトンを観る」、北大院水産の斎藤誠一さんに「魚を観る」というラインアップで行った。新年早々のそれも連休初日の土曜日なので、参加者が少ないのではないかと心配したが、用意した120名の会場がちょうどいっぱいになった。また、熱心な方が多く、質疑応答も盛んで良かった。すでにリタイアされた方達だろうか、比較的年齢層は高く、質問もしっかりした内容が多かったことには驚かされた。
講演会の前には昔センターにいらした先生方4名と学内のシェジローで懇談会。講演会の後には江淵さん、斎藤さんにお礼の意味で鳥謹で懇親会を行った。また研究室のPDのSTさんのインドの極地研究所への就職が決まり、10日には完全に帰国してしまい、少し前に卒業したAM君も倉敷で就職が決まったので、その歓送会も兼ねた。そのため卒業生のMT君、ST君、YH君も参加してくれ、大人数となった。