2009年12月21日月曜日

米本昌平さんの講演

12月21日、今日、名古屋大で名古屋大学の客員である東京大学先端科学技術研究センターの米本昌平さんの講演があった。科学外交が専門の方で、いくつも面白い点があった。国境を越えて研究を行なう研究集団が認識共同体を形成することは、まさに私たちが特にNOWPAPの活動等の日中韓で目指そうとしていることだが、実際にはそれをどのように政策に反映していくかのルートが余りはっきりしていない。講演では、今までは官僚がになっていた政策提言を、民主党政権ではやれなくなるのであれば、大学がそれをやってもよいのではないかという提言だった。アメリカではロビー活動と呼ばれている部分が確かに日本にはかけている。また欧州のように先進国同士でない場合、出資している先進国がリーダーシップをとるとあまりよくないとの主張も共感できた。日中韓では韓国にリーダーシップを取ってもらう(あるいは言いだしっぺになってもらう)のが、一番うまくいくような気がしている。温暖化のような世界での環境外交も重要だが、日中韓やアジアを中心とした環境外交も日本としては積極的に進めていく必要があると思うが。一方で環境外交が大きく動くのは、政治的な外交に大きな変化があったときであるとのことが事実であれば、そのようなタイミングが来るまでしっかりした研究外交をして、基礎を作っておくべきだということになるのだろう。

2009年12月20日日曜日

【伊勢湾・三河湾と川の環境問題にどう取り組むのか】~国の政策とNGOの役割~

12月20日は中部の環境を考える会の主催した【伊勢湾・三河湾と川の環境問題にどう取り組むのか】~国の政策とNGOの役割~に(一市民として?)参加した。村上哲生さん(名女大)は川の視点からダム建設の問題点を語り、特に付着藻類の変化によって鮎の味が変化する点は面白かった。清野聡子さん(東大)は、沿岸環境保全に関する法制度の歴史に触れながら、生物多様性条約COP10に同期して日本に海洋保護区を設定する必要性を述べた。関口秀夫さん(三重大)は海洋学的な伊勢湾の特徴について述べ、流域での人間生活の変化による富栄養化によって貧酸素が発生することの必然性を述べた。3人とも環境認識と予測の難しさとともに、市民によるデータ収集への参加や監視が大切であることを訴えたように思う。質疑の時間が短く、参加者がどのように受け止めたのかはあまりはっきりわからなかったが、今回集まったのは少人数(30名ほど)ながらこのような会が30年近く続いていることはすばらしい。今後、海の環境に関する議論もぜひ続けていってほしい。

2009年12月18日金曜日

大分水試


17日は宇宙利用促進調整費の打ち合わせのために大分県佐伯の水産試験場を訪ねた。この予算は宇宙の利用を促進するために今年から作られたもので、政権交代で執行されるかが心配であったが無事開始された。私が代表となり、大分県水試の宮村さん、瀬戸内水研の渡邊さん、東大農学生命科学の古谷さんと一緒にリモートセンシングデータを利用した赤潮の被害軽減の実証実験という課題で採択された。

大分県の豊後水道沿岸では毎年のように赤潮が発生しており、衛星データを利用して養殖海域に赤潮が来るのを予測した実績もすでにあり、このプロジェクトで重要な役割を果たしてくれる。県も予算が厳しく、このような外部資金を取ることは重要と認識しているようである。夜は卒業生のSS君も交えて、おいしい関サバをいただき、その後別府の温泉つきビジネスホテルに宿泊した。SS君も頑張っているようである。

18日は福岡に向かい、長崎大の社会人博士課程の学生である福岡県の安藤さんとお昼を食べ、博士論文や周防灘の赤潮の話をした。昼過ぎの飛行機で大学に戻りセミナーに出席。今年の出張の嵐もこれで一段落。


2009年12月15日火曜日

練習船共同利用

15日は長崎大学水産学部の練習船共同利用の委員会で長崎に出張した。水産系の学部・学科では、長崎大、北大、東京海洋大、鹿児島大、三重大、広島大が練習船を所有している。これらはそれぞれの大学内部での利用はもちろん、他大学や研究機関などにも利用されてきたが、これまではあまり共同利用や公募のような制度がはっきりしていなかった。そこで今年から公募を開始した。なかなか乗船経験のできる施設はない上、長崎大学ではこれまでも学外の人に利用してもらう実績があったため、今回の公募でもそれなりの数の公募があった。一方で、練習船が古くなりつつあり、そろそろ新しい船を準備しなければならないが、国の予算状況はもちろん厳しい。しかし、海に囲まれた日本としては、海の教育・研究は欠かせないはずで、練習船の役割は大きいはずである。海を含めた地球科学や造船の関係者の中にも、船に乗ったことがない人が多いことはおかしなことである。ぜひ練習船を使った教育の機会を増やしていってほしいところである。

長崎駅前でばったりと広島在住の長崎大学時代の教え子IYさん(旧姓ITさん)に出会った。

2009年12月14日月曜日

スタッフ移動

前任の才野教授時代から特任準教授で来ていたSandric君が、明日で研究室を離れる。シンガポール大学に無事就職が決まったそうだ。日本では研究者の就職のなかなか厳しい時代であり、外国でも就職が決まってくれて良かった。今後もぜひ研究協力をしたいところである。

2009年12月11日金曜日

第6回日韓海色ワークショップ




12月10/11日で第6回日韓海色ワークショップを韓国海洋研究所の主催で開催しました。このワークショップは7年前に韓国海洋研究所のアンさんといっしょに始めたもので、1年おきに日本と韓国で開催しています。今回は韓国からは38名、日本から私のグループ5名を含む13名、中国から1名が参加しました。日韓の衛星計画、経年変動、赤潮、アルゴリズム、大気補正など面白い内容が多くありました。韓国の静止海色衛星が来年春に打ち上げられるということで、韓国側はかなり気合が入っていました。特に面白かったのは黄海で問題となったアオノリの大発生は中国沿岸の海苔養殖と関係があるという論文をさらに数値計算で解析した済州大のMoonさんの発表でしょうか。2日目の午後は、黄海大海洋生態系(YSLME)プロジェクトのサポートで行なっている黄海・東シナ海のローカルアルゴリズム開発のまとめを行い、今後もこの日中韓の協力を何とか継続することで合意しました。東海大の虎谷さんの大気補正も期待ができそうです。

1日目の晩は、鴨料理の後、カラオケで盛り上がりましたが、いつもながら韓国人のパワーには圧倒されました。また日本のほとんどの研究費では認められていませんが、一次会の食事の費用ぐらいは研究費で出せるようです。これは本来国際共同研究のような時には重要だと思われます。2日目の晩は、フグ料理でした。


2009年12月9日水曜日

相模湾研究集会

12月7日に当センターの研究集会「沿岸域の海洋環境変動と生態系変動」(代表:東京海洋大学 石丸隆)を開催した。この研究集会は昨日開催したCREST/SORSTで東京海洋大学と名古屋大学が中心におこなってきた相模湾での研究・観測の現状をまとめ、今後をどうつなげていくかに関して議論するための集会であった。東京海洋大学から石丸さん・神田さんと大学院生3名、名古屋大学からAndreas・Sandric・EKO・三野・高橋が発表し、そのほか東京海洋大学から西川さん・津田さんも参加してくれた。 

相模湾は東京湾からの水や黒潮の影響が頻繁にあり、単純な系ではないが、CREST/SORSTの10年にわたる研究は一次生産を中心にそこでの物理・化学・生物プロセスとそのつながりを明らかにできつつあると感じられた。CREST/SORSTは終了するが、相模湾では他にも多くの研究が行なわれており、それをつなげる必要があること、また比較沿岸海洋学の観点で他と比較した研究や、全体像を衛星とモデルであらわすことが必要であることなどが議論された。

また現在JAMSTECの才野さんが、私の筑波大時代の恩師で当時東京大学理学部の高橋正征先生が、伊豆沖湧昇の研究を行っていた時の1985年に川口湖で行なった集会の写真とメモを披露した。当時若手を中心に20年後(つまり今)までを見通した研究の方向性を的確に考えており、それがその通りに進んできたことは驚きに値した。最近外洋の研究は鉄や窒素固定などで大きな進展があるが、沿岸でも新たなビジョンを共有することが必要があることを感じられた。

この日はCREST/SORSTの代表である才野さんの誕生日であり、それをお祝いしながら議論が盛り上がった。



2009年12月7日月曜日

衛星リモートセンシングによる海・陸の基礎生産推定に関する国際ワークショップ

今週は7日に国際ワークショップ、8日が研究集会で、10日から11日が韓国でのワークショップとハードスケジュールです。

国際ワークショップは、前任者で現JAMSTECの才野さんの衛星リモートセンシングによる海洋基礎生産推定に関するJSTプロジェクトの最終ということで、千葉大の本多さんの陸域植生に関するプロジェクト、JAXAの新しい衛星ミッションGCOM-Cと合わせて議論するものでした。才野さん、本多さんのプロジェクトの結果として、新しい手法、プラットフォームでの海洋基礎生産、陸域植生現存量の推定手法について紹介されたほか、モデルと衛星の連携、海外での衛星による気候変動の影響に関する研究例を陸と海でそれぞれ発表してもらい、最後にJAXAの村上さんからGCOM-Cの紹介をしてもらいました。

個人的にもっともショッキングだったのは、Bigelow Marine Laboratory のGoesさんによる、ヒマラヤの氷河融解による気候変動でアラビア海で、緑色夜光虫(Green Nocticulca)による赤潮が頻発化し、深層で酸素化しているという報告でした。

面白いテーマであったと思うのですが、宣伝不足もあり、やや参加者が少なかったことが残念です。海に関しては外部の人も来てくれたのですが、陸域植生に関しては内部にも関係する研究者はいるので期待していたのですが、あまり参加がなかったようです。最近ワークショップ・シンポジウムが多すぎることも事実でしょう。裏番組ではJAXAと名古屋大学の協定のシンポジウムも開催されていたようです。


「伊勢・三河湾の環境と漁業を考える-豊 かな海と魅力ある漁業の再生を目指して」

12月5日に水産海洋学会の地域研究集会「伊勢・三河湾の環境と漁業を考える-豊
かな海と魅力ある漁業の再生を目指して」に出席した。コンビーナの一人、知多農林
水事の黒田伸郎さんは、名大水圏(西条研)のOBである。集会としてのまとめは水産
海洋の学会誌に掲載されると思うが、ここでは簡単に内容をまとめ、感想を述べる。

 まず基調講演の印南さん(愛知大)は民俗学の研究者で、三河湾周辺で最近ほとん
どなくなってしまった海草・海藻について、以前は肥料の他、石風呂など様々な用途
に利用されていて、資源としてだけでなく、文化も支え、管理もされていたとのこと
を指摘した。
 三重水研の水野さんは、浅海定線データや漁獲統計などで最近の50から20年間程度
の変化を示し、栄養塩の総量規制によって栄養塩やクロロフィルなどが減少している
にもかかわらず貧酸素状態が解消されず、かえってこれ以上の栄養塩供給の不足は一
部の漁獲の減少につながる可能性もあることを指摘した(ただし、これにはまだまだ
議論があった)。一方の黒田さんは、古蔵書や聞き取りで高緯度経済成長期以前の漁
場環境の様子を調査し、1日1隻あたりの漁獲量自体は減少していないが以前は市場
に回らない魚は肥料等で利用していたことや、アサリは現在ほどの需要がなかったこ
と、貧酸素は湾中央部だけで発生し周辺では漁獲ができたこと、さらに漁師さんたち
は河口堰の運用後の底質変化が漁業に大きな影響を与えていると認識していることを
指摘した。
 また、愛知県水試の宮脇さんは混穫物として、昔は多くなかったヒトデ(特にスナ
ヒトデ)が多く、それが海中投棄されていること、これが貧酸素と関係している可能
性を指摘した。また、岡本さんは三河湾の貝類の漁業について述べ、埋め立て等に
よって漁場が消失して減少したハマグリや赤貝と、むしろ漁獲は増加しているが貧酸
素化で不安定化しているアサリやトリガイの2つのグループがあることを指摘した。
 総合討論では、二つの漁協の組合長さんが、漁業が可能な自然環境を守るととも
に、後継者ができるような漁業者の所得を確保できるような価格の安定化が必要であ
ることを述べて終わった。

 個人的には、伊勢湾・三河湾は大都市の近郊の内湾であるにもかかわらず、まだま
だ漁場としてもかなりの生産力があり、今後流域圏としてうまく管理していけば、ま
さに「豊かな海」として利用していくことが可能ではないかと感じられた。また科学
的なデータを取得していなかなければならないことはもちろんであるが、今あるデー
タについてもまだまだ解析不足であること、さらに科学的データになりにくい事実や
文化的な知見の重要性も明らかであった。特に、栄養塩の総量規制への批判はあるも
のの、伊勢湾・三河湾を全て平均してでは議論ができないことや、以前は海藻や混穫
物の肥料等への利用が盛んであったことは、持続的な物質循環を考える上で重要であ
ると思われた。また今回は水産系の研究者と漁業者の集会であったが、陸域も含めた
議論も必要であり、まさに名古屋大学のGCOEでも期待される部分ではないだろうか。

2009年11月27日金曜日

クラゲ国際ワークショップとW-PASS集会

25-26日は博多で大型クラゲの国際ワークショップ、25-27日は札幌市の定山渓温泉でW-PASSの全体集会があった。ダブルブッキングということで、25日は発表と昼食後数題聞いた後に、飛行機で札幌に向かった。博多でターミナルを間違えて心臓が破れるぐらい走った。定山渓温泉は千歳空港からも距離があり、行くまでは不満も感じたがなかなかよいところであり、ホスト(YYW)に感謝。

大型クラゲのワークショップは日中韓の大型クラゲ研究の状況について報告するもので、初めて出席したが日本語を中国・韓国語に同時通訳するというなれない発表であった。自分の発表に関しては、大型クラゲのデータを直接扱っていないので、やや難しいところがあったが、昨年の黄海での春先の低温が発生量が少なかったことの原因ではないかとの仮説には、他の年が合わないとの反論もあった。ただ、定量的なデータがはっきりしていない上に、時系列が短すぎるところが難しいところである。中国側からは、国を背負っているところは仕方がないだろうが、中国の責任ではないという主張が入り、科学的には疑問を感じられる発言が気になった。もちろん日本側としても、責任を押し付けるのではなく、一緒に良くしていくべきという姿勢をどう出すかが大切であろう。

一方、W-PASSの会合は、大気と海洋相互作用と物質循環に関する特定領域研究「大気海洋物質循環」の全体集会で、こちらもいままでいろいろ重なって初めての出席であった。日本の関連の研究者の多くが年寄りも若手も出席する会合で、広い分野で活発な議論がじっくりとでき、このあたりが特定領域研究のよいところである。この研究室でもかなりやっている台風の研究は着実に成果が上がっている。大気化学との連携では、海の生物に重要な鉄や窒素、リンがどこでいつどのような形で供給されるか知りたいところであったが、まだ充分でないような感じがした。降雨・エアロゾルは衛星でも観測できるので、そのあたりを協力してみるのもよさそうである。

帰りは札幌ビールでジンギスカンをいただいた。

2009年11月17日火曜日

有明海観測

7-10, 14-17日で長崎大学の鶴洋丸を利用して有明海の観測に行きました。小潮と大潮の観測で、私はその間授業に一度帰りましたが、学生は長崎においてきました。準備は5日からで、また学生はその後の水産海洋学会にも出席して、2週間近くの遠征です。観測にはわれわれの他に九大、神奈川大、山梨大にも参加してもらいました。あいにく最後は天候で少し早めに観測を切り上げることになりましたが、ほぼ予定通りで、小潮・大潮それぞれで、定点観測と満潮・干潮での断面、面観測を行ないました。

今年はビゼンクラゲがかなり多いようです。


空気がきれいで諫早湾口から遠くの諫早湾の水門が見えます。

2009年10月30日金曜日

北太平洋海洋科学機構(PICES)

23日から30日まで韓国済州島であった北太平洋海洋科学機構(PICES)に出席した。PICESはもともと大西洋の漁業資源管理のためにできたICESの太平洋版として結成された日露米加韓中の国際組織で、現在は北太平洋の海洋科学を広く扱っている学会である。過去2回1日ずつ出席したことがあったが、東アジア縁辺海の循環研究のアドバイザリーパネル(CREAMS-AP)の共同議長になったため、今回は大分長く参加することになった。

今回は韓国済州島の南のリゾート地、中文の国際会議場で開催された。中文は昨年韓国の新しい衛星のワークショップがあった際にハイアットホテルに来たことがあった。今回の宿泊はハナホテルで、はじめ隣のロッテホテルと比べると貧弱な気がしたが、夜しかいないのには充分なホテルだった。国際会議場までバスはあったが景色の良い道を毎日20分歩いた。関係者も多く泊まっていたので、いろいろな情報交換ができたのもよかった。

到着日の晩は韓国のPICESで重要人物で、専門分野が近く以前から友達のYooさんと、魚料理中心の夕食を取った。夜中に大学からのメールで予算要求していた赤潮の被害削減に関する予算が通ったとのことで、これはこれでかなり大変だ。

24日は午後、クラゲのモニタリング手法に関するワークショップに参加した。エチゼンクラゲの発生はようやく4年分のデータがそろった程度であるが、NOAAではもう少し長く統計解析ができる種類もあり、気候変動との関係の解析が始まっていた。いずれにしてもクラゲのことはまだまだ研究が始まったばかりで研究者も少ないことは事実である。衛星モニタリングの話題も出て、少し発言する機会もあった。残念ながら直接衛星で数を把握することは困難だが、生息環境や経年変動を説明するデータとしては重要な役割を果たすはずである。

25日はビーチでゆっくりしながら論文をチェックし、夜CREAMS-APの会議に出席した。この1年の活動の報告あった他、こちらから黄海・東シナ海を中心に活動を広げるために、9月にワークショップを開催することと、7月の長崎丸の航海をこの活動の一環とすることを提案した。中国からの正式な参加者はいなかったが、Institute of Oceanologyから代理が出ただけでも進歩である。毎回フランス料理は韓国の共同議長KR Kimの趣味だろう。お金も彼がだしているのか?

26日はサイエンスボードミーティングと呼ばれる全体会合だった。SecretaryのSkipがNo Machine-gun Talkといってくれたことは英語圏でない国からの参加者からのことを考えてくれるPICESのよさを感じた。韓国のChangやSuam Kimなど顔見知りからの話も非常によかった。夜の懇親会でも多くの人と話せた。

27日午前中はHAB(有害藻類ブルーム)への対策のセッションに参加した。これから衛星で被害削減のプロジェクトを走らせる上では大切な話である。PDのSon君が発表したが、相変わらず早口である。午後は済州大学校のMoonさんを訪ね、セミナーを行なった。一緒にいったJAMSTECの宮沢さんのモデルの話はなかなか面白く、今後比較をおこなっていくことができそうである。

28日はモデルのセッションにいたが、生態系モデルの最近の発達には目を見張る。午後はCREAMS-APの会議結果をその上のレベルに報告した。中国第1海洋研究所からの人が興味を持ってくれ、来年の長崎丸に誰か乗船できるかもしれないとのこと。うまくといけばよいのだが。

29日はモニタリングのセッションに出席。韓国はまた黄海に観測塔を建てたようで、中国への威嚇をしているようで頼もしい。日本はどうしてこのような動きが下手なのだろう。長崎大学が韓国海洋研究院と共同研究をやっているセマングムの話もあり、事前から事後までしっかりと環境影響を調べており、日本よりかなり進んでいる。夜はワインとスナック付きでポスターセッション。これも大変盛り上がってよい。基礎生産の仕事が少ないので、SJ YooやPenaと今後盛り上げようと意気投合した。

30日は飛行場に行く途中にSon君がいとこのスーパーに連れて行ってくれた。おまけに手作りキムチまでもらってしまった。韓国の人たちの暖かさが感じられた。

全体としては自分の研究や日中韓の共同研究を進める上でも良かったし、他の会議とは異なるPICESのよさを感じた。今後はより積極的にかかわっていくことになるだろう。

2009年10月20日火曜日

GCOE伊勢湾流域圏

今日はGCOEプログラムの伊勢湾流域圏の会合があった。すでに何回も会合があったが、今回は単なる発表ではなく、10名の参加者が地図を見ながらそれぞれの興味を自己紹介的に話し、それをもとに自由に議論してポイントを洗い出した。森林・里山・水質・海・都市など様々な観点での議論で、今回だけでまとめられるものではないが、今までの発表形式とは異なり、多くの人が参加した議論ができてとてもよかったように思う。ちょうど今、プロフェッショナル仕事の流儀で脳の活性化の話をしているが、一方方向ではなく双方向の会話でこそ脳が活性化されるという。まさにこれでこそ新しいアイディアも出るのかもしれない。

2009年10月19日月曜日

CREST/SORST最終会合

本日は、私も少し参加してきた前任の才野教授の10年にわたる戦略的創造研究推進事業とその発展研究の、最終全体会合を名古屋大学で行なった。現在JAMSTECの才野さん、東京海洋大学の石丸さん、京都大学の淡路さんの他、数名の若手研究者がこの数ヶ月間の成果を発表し、全体のまとめについて議論した。この事業で開発した鉛直分布測定用のウィンンチシステムはかなり海外からも引き合いが来ているようで、今後も期待ができそうだ。一方、光合成活性を測定するFRRFに関しては、植物の現存量を求めるクロロフィル蛍光の問題などもう少しつめるところが残る。また相模湾での応用研究は膨大なデータを今後いろいろな角度でまとめていくことが望まれる。金額に見合った成果かどうかはよくわからないが、多くの成果がでていることは間違いないだろう。

2009年10月18日日曜日

科研費

科研費の締め切りが近づいていて、今週末は作成作業に追われています。来年まで有明海の基盤(B)が走っているので、東シナ海航海を海外学術(A)で出そうと思います。いつも準備がぎりぎりになって後悔するのですが、若手研究者に入ってもらうことで、少しずつ形になってきたように思います。

2009年10月17日土曜日

水漏れ

地球水循環センターは水でのろわれているのか、また水漏れ騒ぎです。
今回は単にトイレの使い方の問題で一部水浸しになった程度ですが、先日の台風でも玄関で水がポタポタとたれています。
着任早々のゴールデンウィークは、私の部屋の前の廊下天井裏の井水パイプが破れて、3階全体に床上浸水し、大きな被害が出ました。
シルバーウィークには、夏休み中に行なった学生室の天井のアスベスト工事がもとでパイプが破損(?)し、4階の流しの水がポタポタ漏れてきました。
何分古い建物で、いい加減何とかしてもらわないと、教育研究もままなりませんね。

2009年9月29日火曜日

海洋学会秋季大会

9月25日から29日まで京都大学で開催された日本海洋学会秋季大会に出席しました。

25日はシンポジウム「生物地球化学的手法で探る日本海環境の動向」にコンビナーとして参加しました。長崎大学時代の教え子の山田圭子さん(現在、韓国水産科学院)に「日本海の低次生産の経年変動」について話してもらいました。全体には日本海固有水の形成に関する話題が多かったのですが、気候変動による影響、深層での酸素消費など、化学、物理、生物の分野を超えた議論ができました。また昼休みには沿岸環境部会事業委員会に出席し、来年の部会主催のシンポジウムについて話し合いました。

26日は有明海のセッションでM2の荒木君が発表しました。沿岸環境でいくつか面白い講演がありました。昼間は論文賞選考委員会、夜は評議員会でした。

27日はポスターセッションでD3の柴田君、D2の山口君、PDのエコさん、以前PDだった佐々木君が発表しました。夜は懇親会。

28日はPDSon君と自分の発表がありました。昼はJOの編集委員会でした。

29日は九大の松野さんとやっている東シナ海の科学技術振興推進費の会議でした。このお金は今年度一杯ですので、何か別のお金を取らなければ。

京都は情緒があってよいですね。


2009年9月16日水曜日

生物多様性ワークショップ

16日は富山の環日本海海洋環境協力センターの主催する海洋生物多様性のワークショップに出席しました。生物多様性というのは、一般的に利用しやすい言葉であるが、科学的にはなかなかどう定義するのか難しい。リモートセンシングの手法では直接ある場所の多様性を見ることは困難であるが、例えばある湾の中で生物生息域が多様に保持されているかどうかを調べることはできるだろう。グローバルにはこのような考え方が大切なのではないだろうか。

富山県知事を表敬訪問


9月15日にNOWPAPの専門家として富山県知事を表敬訪問しました。


2009年9月15日火曜日

NOWPAP FP meeting

14日、15日に富山で行なわれた国連環境計画(UNEP)の地域海プログラム北西太平洋地域における海洋・沿岸環境の保全、管理及び開発に向けた活動計画(NOWPAP)」特殊モニタリング・沿岸環境評価地域活動センター(CEARAC)のフォーカルポイント会合に出席し、2010、11年の計画を議論しました。

2009年9月10日木曜日

中国での長江ワークショップと見学

8日に中国江西省で、名古屋大HyARC、総合地球学研究所、中国科学院南京地理湖沼研究所が共催したワークショップ“Human-Nature Interactions in The Changjiang River Basin of China Experiencing Abrupt Change”(急激に変化する中国長江流域圏での人間と自然の相互作用)に参加し、「Influence of Changjiang River Discharge to the East China Sea and Japan Sea(東シナ海・日本海への長江流入の影響)」を発表しました。また9日はポーヤン湖岸にある南京地理湖沼研究所の研究施設および保護センターを見学しました。





2009年8月27日木曜日

PICES海洋リモートセンシング講習会

ソウル大学で開催されたPICESの「地球環境のための海洋リモートセンシング講習会」に8月25日と26日に参加し、Monitoring Earth Biosphere Using Ocean Color - From Local to Global Changes(海色による地球生物圏のモニタリング- 地域から地球規模の変化)の講義を行ないました。また、当研究室のSon君が海色リモートセンシングの処理システムの講師、長崎大学の社会人大学生でNOWPAP/CEARACの寺内君が全体の補助を務めました。

2009年8月7日金曜日

伊勢湾観測


8月5-7日に名古屋大学理学部地球惑星科学科の大気水圏フィールドセミナーIIに合わせて、三重大学勢水丸で伊勢湾の観測を行ないました。
多くの淡水が流れ込み、湾奥は低塩分で濁っていましたが、湾央から湾口にかけてはChaetocerosを主とした珪藻赤潮が発生していました。

2009年7月27日月曜日

東シナ海観測


7月17日から27日にかけて、長崎大学水産学部練習船長崎丸で東シナ海済州島南の韓国経済水域での観測を行ないました。名古屋大学、長崎大学、九州大学、神奈川大学、富山大学、済州大学校、韓国海洋研究院から参加がありました。黄海湾口を中心にエチゼンクラゲがかなりいて、これが日本海に行くと問題です。


雲が多かったのですが、ちょうど皆既日食をみんなで見ました。。




こんな珍しい訪問者も。ヤツガシラでしょうか。

2009年7月10日金曜日

NPEC委員会

東京で環日本海海洋環境協力センター(NPEC)の赤潮/HAB調査検討委員会及び海洋環境リモートセンシング調査検討委員会に出席しました。

2009年6月16日火曜日

東シナ海共同研究集会


6月15・16日に松野健さん(九州大学応用力学研究所)を代表者として共同研究集会「東シナ海海域の海洋環境」を開催しました。この研究集会は、これまでに長崎大学水産学部と九州大学応用力学研究所とで共同で行なってきた東シナ海の生物生産への長江希釈水の影響に関する研究をはじめとした状況をまとめ、7月に予定されている東シナ海航海の計画を策定する目的で行ないました。参加者は学外14名(うち九州大学4名、長崎大学3名、富山大学2名、愛媛大学2名、水産大学校1名、広島大学1名、韓国済州大学校1名)、学内14名の28名でした。

 東シナ海の物理・化学・生物現象には、長江からの淡水とその混合過程の影響が大きくかかわっており、また台風などの気象条件もその現象に強く影響していることが明らかとなってきました。


2009年4月25日土曜日

PICESとPAMS

21-22日に釜山で開催されたPICES (北太平洋海洋科学機構) workshop on Status and Trends in East Asian Marginal Sea Ecosystems (東アジア縁辺海生態系の状況と傾向)で以下の発表をしました。

Ishizaka, J., H. Yamaguchi, Sinjae Yoo, Status and trend of primary production in Yellow Sea and East China Sea (黄海と東シナ海の基礎生産の状況と傾向)

続いて23-25日に釜山で開催された第15回のPAMS(アジア太平洋縁辺海会議)に参加しました。共著で以下の発表をしました。山田さんは長崎大学での初めて指導した博士で現在韓国水産科学院勤務、Son君は名古屋大学で現在雇用しているポストドクです。

1. Yamada, K. S.-W. Kim, J. Ishizaka, W.-J. Go, and J.-H. Yun, Area difference of sea surface cooling and chlorophyll increase after typhoon passages in the East/Japan Sea, (Poster)(日本海での台風の通過後の海表面水温低下とクロロフィル上昇の場所による違い)

2. Son, Y.B. and J. Ishizaka, 10-year surface particulate organic carbon (POC) and particulate matter (PM) variations based on in-situ and ocean color data in the East China Sea.(10年間の東シナ海での現場データと海色データによる粒状有機物と粒状物質)

また新たにメンバーになったPICESのCREAMS-AP(東アジア縁辺海の循環に関する助言パネル)の会合に出席し、共同議長に推薦されました。

同じく、PICESのCFAME(Climate Forcing and Marine Ecosystem: 気候強制力と海洋生態系)の基礎生産に関する部分の原稿を提出しました。

2009年4月8日水曜日

日本海洋学会

4月5~8日に東京大学本郷キャンパスで開催された日本海洋学会に出席しました。以下、5名の学生と九州大学の松野さんの発表をしました。その他、評議委員会、総会、論文賞選考委員会に出席しました。

1. 荒木正寛、石坂丞二、柴田達也 有明海における透明度と懸濁粒子の関係について(ポスター)

2. 柴田達也、石坂丞二、Sarat C. Tripathy、鈴木祥弘 冬季有明海における成層状態の変化への微細藻類の色素応答

3. 牧野高志、石坂丞二、広瀬直毅、松野健 東シナ海から対馬海峡に流入する長江希釈水の字空間変動の把握

4. 山口寿史、Young Baek SonEko Siswanto、石坂丞二、Sinjae YooYu-Hwan AhnSang-Woo KimJunwu Tang、川村宏、清本容子 東シナ海における標準的な衛星クロロフィルaと最適化された衛星クロロフィルaの季節および海域による比較

5. 寺内元基、石坂丞二 衛星リモートセンシングが捉えた富山湾におけるクロロフィルa濃度の時空間分布と河川流量

6. 松野健、遠藤貴洋、堤英輔、石坂丞二、山口寿史、Lee Jae-HakJang zsang-Tae 済州島南西の長江希釈水域における蛍光光度の分布と時間変化


2009年4月3日金曜日

SELISセミナー

名古屋大学に移って初めてセミナーを行ないました。

2009年4月1日水曜日

着任

名古屋大学地球水循環研究センターに着任しました。