2009年10月30日金曜日

北太平洋海洋科学機構(PICES)

23日から30日まで韓国済州島であった北太平洋海洋科学機構(PICES)に出席した。PICESはもともと大西洋の漁業資源管理のためにできたICESの太平洋版として結成された日露米加韓中の国際組織で、現在は北太平洋の海洋科学を広く扱っている学会である。過去2回1日ずつ出席したことがあったが、東アジア縁辺海の循環研究のアドバイザリーパネル(CREAMS-AP)の共同議長になったため、今回は大分長く参加することになった。

今回は韓国済州島の南のリゾート地、中文の国際会議場で開催された。中文は昨年韓国の新しい衛星のワークショップがあった際にハイアットホテルに来たことがあった。今回の宿泊はハナホテルで、はじめ隣のロッテホテルと比べると貧弱な気がしたが、夜しかいないのには充分なホテルだった。国際会議場までバスはあったが景色の良い道を毎日20分歩いた。関係者も多く泊まっていたので、いろいろな情報交換ができたのもよかった。

到着日の晩は韓国のPICESで重要人物で、専門分野が近く以前から友達のYooさんと、魚料理中心の夕食を取った。夜中に大学からのメールで予算要求していた赤潮の被害削減に関する予算が通ったとのことで、これはこれでかなり大変だ。

24日は午後、クラゲのモニタリング手法に関するワークショップに参加した。エチゼンクラゲの発生はようやく4年分のデータがそろった程度であるが、NOAAではもう少し長く統計解析ができる種類もあり、気候変動との関係の解析が始まっていた。いずれにしてもクラゲのことはまだまだ研究が始まったばかりで研究者も少ないことは事実である。衛星モニタリングの話題も出て、少し発言する機会もあった。残念ながら直接衛星で数を把握することは困難だが、生息環境や経年変動を説明するデータとしては重要な役割を果たすはずである。

25日はビーチでゆっくりしながら論文をチェックし、夜CREAMS-APの会議に出席した。この1年の活動の報告あった他、こちらから黄海・東シナ海を中心に活動を広げるために、9月にワークショップを開催することと、7月の長崎丸の航海をこの活動の一環とすることを提案した。中国からの正式な参加者はいなかったが、Institute of Oceanologyから代理が出ただけでも進歩である。毎回フランス料理は韓国の共同議長KR Kimの趣味だろう。お金も彼がだしているのか?

26日はサイエンスボードミーティングと呼ばれる全体会合だった。SecretaryのSkipがNo Machine-gun Talkといってくれたことは英語圏でない国からの参加者からのことを考えてくれるPICESのよさを感じた。韓国のChangやSuam Kimなど顔見知りからの話も非常によかった。夜の懇親会でも多くの人と話せた。

27日午前中はHAB(有害藻類ブルーム)への対策のセッションに参加した。これから衛星で被害削減のプロジェクトを走らせる上では大切な話である。PDのSon君が発表したが、相変わらず早口である。午後は済州大学校のMoonさんを訪ね、セミナーを行なった。一緒にいったJAMSTECの宮沢さんのモデルの話はなかなか面白く、今後比較をおこなっていくことができそうである。

28日はモデルのセッションにいたが、生態系モデルの最近の発達には目を見張る。午後はCREAMS-APの会議結果をその上のレベルに報告した。中国第1海洋研究所からの人が興味を持ってくれ、来年の長崎丸に誰か乗船できるかもしれないとのこと。うまくといけばよいのだが。

29日はモニタリングのセッションに出席。韓国はまた黄海に観測塔を建てたようで、中国への威嚇をしているようで頼もしい。日本はどうしてこのような動きが下手なのだろう。長崎大学が韓国海洋研究院と共同研究をやっているセマングムの話もあり、事前から事後までしっかりと環境影響を調べており、日本よりかなり進んでいる。夜はワインとスナック付きでポスターセッション。これも大変盛り上がってよい。基礎生産の仕事が少ないので、SJ YooやPenaと今後盛り上げようと意気投合した。

30日は飛行場に行く途中にSon君がいとこのスーパーに連れて行ってくれた。おまけに手作りキムチまでもらってしまった。韓国の人たちの暖かさが感じられた。

全体としては自分の研究や日中韓の共同研究を進める上でも良かったし、他の会議とは異なるPICESのよさを感じた。今後はより積極的にかかわっていくことになるだろう。