終わってからは4人で、鳥謹へ。
2011年1月28日金曜日
赤潮プロジェクト会議
28日は赤潮プロジェクトの会議を行なった。これは衛星データを利用して赤潮の被害を削減するための実証試験で衛星データ利用を普及させるためのもので、大分県水産試験場の宮村さん、瀬戸内海区水産研究所の板倉さん、東大生命農学研究科の古谷さんに参加してもらっている。2年半のプロジェクトの1年半が終わろうとしており、これまでの活動の報告と来年度の計画について議論した。過去のデータ等からある程度赤潮を衛星で感知できるようであることはわかったが、昨年は幸いにして、大分県では被害の出るような赤潮が発生しなかった。来年も出ないことを望みつつ研究としては出てもらわないと困る複雑な気持ちだ。
2011年1月27日木曜日
宇宙海洋本委員会
27日は午前中大学に行って修論・博論の指導をし、午後からはふたたび東京へ行き、宇宙海洋連携の親委員会に北大の斎藤誠一さんの代理で出席した。委員長は東大理学研究科長の山形俊男さん、インド洋版のエルニーニョであるダイポールモードの提唱等で有名だ。他の委員もそうそうたるメンバーだ。
WGでは測定項目やミッション等かなり具体的な提案をまとめているが、親委員会ではもっと大所高所にたった議論がされた。今回のゲストも海洋法の専門家の奥脇直也先生で、私自身中国や韓国などとの国境を隔てた調査などの問題に直面しているだけに、身につまされる話だ。衛星はそれを超えて観測が出来るところがよいところなのだが。やはり実測も必要だ。
終了後に、山形さん、植松さんと飲むことに、天下国家を論じる二人には今後も旗を振ってもらいたい。
2011年1月26日水曜日
生物大発生(魚種変遷)
25日・26日は朝から、魚種変遷プロジェクトの会議。昔大量にとれていたイワシが最近取れていないことはよく知られているが、乱獲が原因と思っている人も多いだろう。しかし、最近の研究では地球の気候の変動と取れる魚の種類が密接に関係していることがわかってきている。このプロジェクトでは、主にイワシとカタクチイワシ、サバなどの漁獲の大きな変動がどうして起こるのかを調べている。プロジェクトでは海流などの海洋物理学、餌となる動物・植物プランクトンからそのもととなる栄養塩、そして魚の食性や行動、さらには漁獲の変動をどう経済的に扱うべきかまで幅広く研究している。
プロジェクトも後1年ということで、膨大な知見が集ってきてはいるが、それをどうまとめて、行政や一般の人に以下にわかりやすく伝えるかが問われている。
このところ委員会続きだが、一方で大学では修論発表会が近い。先日もメールで修論を直してからの委員会出席となり、なかなか忙しい。
このブログを読んだ関係者に飲み屋行き過ぎといわれてしまった。。
生物大発生・POP’s委員会
1月24-26日は水産総合研究センターの生物大発生の委員会だった。この委員会は広島大学の上先生のプロジェクトStop Jellyと、東北水研の斎藤さんのプロジェクトSuperFish(魚種変遷)の推進委員会と運営委員会で、1年に1回行なわれるが、膨大な研究成果を一度に聞くので、楽しみかつくたびれる会議だ。
今年は、日程調整が悪く、24日午後はクラゲの委員会に出席できず、海上保安庁のPOP'sに関する委員会に出席することとなった。この時期は委員会が多い上に、学生の修了にも忙しい時期で、24日が修論の提出ということで、直前まで添削に追われた。
24日のクラゲの委員会の午前中は、主にミズクラゲという、湾などに普通に見られるクラゲの発生機構の解明と制御に関する研究の報告だった。一昔前と比較すると飛躍的に研究が進んでいる。特にクラゲの赤ちゃんになる前のイソギンチャクのようなポリプが、人工的に設置した浮き桟橋等の裏に大量についているということがわかったことは画期的だ。
午後は、POPsつまり残留性有機汚染汚染物質の委員会に移動。これは海上保安庁のプロジェクトに、愛媛大学と京都大学が共同研究している。愛媛大学とは以前、長崎丸に乗船してもらう相談やPOPsモデルへの入力として衛星データを使ってもらうことで話をしていた関係で声がかかったのだろう。とても多くのPOPsを測定したことは評価できるが、データ解析はもう少し進めてほしいところだ。
2011年1月22日土曜日
GCOE基礎環境学講究
1月21日夕方からGCOEの基礎環境学講究に出席した。別にも講演会もやっているようだが、こちらは私も以前から面識のあるWWFの東梅貞義さんの講義なので優先だ。東梅さんは黄海の保全に向けて、中国・韓国のNGOなどの活動をまとめている方で、以前私もYSLMEの会議などでお会いしている。黄海の多様性を調べるために、様々な種類の生物の分布マップを中国・韓国で統合して出版し、多様性に重要な海域を特定したり、中国・韓国のNGO等にその保全のためのいろいろなプロジェクトを考えて実行させたり、非常に活発に動いている。また、そのためのお金確保まで自分で(一人で)やっているとのことは驚きだ。基礎環境学講究は、いろいろな分野の学生が、留学生も含めて参加しているので難しい科目だが、英語と日本語混じりでとてもわかりやすく話してくれた。
講義の後は、東梅さんと担当の山下さん、学生2名とバグースへ。奇しくも山下さんと東梅さんもわたしも、3名とも海外で学位をとっている(二人はイギリス,私はアメリカだが)。教育やNGOの話に花が咲く。学生の一人が、GCOEは論文を書きながら、授業でいろいろなことをやらなければならないので大変だと正直に言っていた。確かにそうだが、ぜひ広い視野を身につけてくれたらと思う。
2011年1月15日土曜日
ブリパーティ2011
1月14日は大分の卒業生のSS君から届いたブリでパーティを。博士の学生は予備審が終わり、とりあえず博士論文と書類を出し、また修了しない二人は春の海洋学会の申し込みが終わったので一区切り、こちらもこのところ学生の添削で忙しかったのでちょうどよい。輪読ゼミが終わったのが18:00でそれから、昨年に引き続きHY君が見事な包丁さばきを見せた。油ののった刺身とブリシャブ,アラも本当にうまい。SS君ありがとう。終わった時は次の日になっていた。
2011年1月14日金曜日
2011年1月12日水曜日
博士予備審査3
1月12日は3名目HY君の博士予備審査だった。副査は中塚先生と森本先生だ。彼の論文は、衛星で測定した黄海・東シナ海のクロロフィルの、季節変動や経年変動を記述したものだ。この海域の衛星データは、濁りの影響でNASAの標準で利用されている値が合わないことが知られている。そこで研究の前半では標準のクロロフィルに関して、濁りの指標といわれる明るさの値と比較し、値が合わない可能性のあるのが中国・韓国の沿岸域の特に冬場であることを確かめた。その上で海域分けを行い、季節変動を調べた。その結果、黄海中央部や東シナ海の広い範囲で春季ブルームが見られた。さらに長江河口域から対馬周辺までの間で、6-9月に西ほど遅いクロロフィルの季節的な極大が見られ、これは長江の流量の極大に対応した。つまり長江の影響が対馬まで見られることが示された。研究後半では、中国・韓国・日本の研究者の現場データで、より精度のよいクロロフィルと懸濁物重量の衛星データを作り、その特性を調べている。濁りが高い海域ではクロロフィルが低いこと、濁りの減少した後に春季ブルームが起こる海域があることなどが明らかとなっている。
長江起源と考えられるクロロフィルの高い水が対馬まで続いているのは、長江や東シナ海の環境の変化が日本海など日本周辺に及んでいることを示している。実際にわれわれ研究室でも研究をやっているエチゼンクラゲなどは黄海や東シナ海北部から流れてきているようだ。また濁りと春季ブルームの関係なども面白い。
博士を3名一度に修了するのはこちらも大変だし、なかなか厳しい。
2011年1月11日火曜日
博士予備審査2
今日はTS君の予備審査だ。副査は田上先生と三野君、そして九大応力研の松野さんにお願いした。今日は残念ながら松野さんは来れなかった。TS君は特に植物プランクトンの光の変動への適応に興味を持っている。潮汐や風によって水が混ざることによって、植物プランクトンが明るい表層と暗い下層を運ばれることによって、どう応答するのかを調べた。有明海をフィールドに選び、長崎大学の練習船「鶴洋丸」にのって水を取って分析した。
初めの研究では大潮小潮での光の条件と植物の色素の違いを調べたところ、大潮に濁って水中の光が減少し、それに伴って強い光を防ぐ色素が減少して、逆に光を吸収する色素が増加していた。つまり、大潮小潮の違いで起こる濁りの違いによる光条件の違いに、植物プランクトンが反応していることが明らかとなった。この仕事は日本海洋学会のJournal of Oceanographyという雑誌に掲載されている。
後半の研究では、九大の松野さんたちがやっているターボマップと呼ばれる水の混ざり方を調べる機械のデータを使い、植物プランクトンが光の有る層をどの程度の時間で行き来しているかを調べた。ちょうど8日に話題がでた山崎さんの作った機械だ。その結果、強い風が吹くことによって、水の混ざり方がとても早くなって、植物が明るい条件と暗い条件を数時間で経験することがわかった。さらに、そのような時には、植物プランクトンが明るい条件にも暗い条件にも適応することが出来ずに、光合成の活性までも減ってしまうことが明らかとなった。風などによって水が混ざることが植物プランクトンや基礎生産に大きな影響を与えることがわかった。こちらもこれから学術誌に投稿することになる。
あれだけ濁った海域でも植物プランクトンにとって光が強すぎる状態になりうることは驚きだ。これが有明海の環境変化とどのようにつながるかはよくわからないが、有明海だけではなく、どんな海域での基礎生産の変動機構を考える上でも非常に重要な仕事になると思う。
2011年1月8日土曜日
東北大須賀さん
1月7日は東北大の須賀さんが、鋤柄さんと打ち合わせをするために研究室に来た。須賀さんといえば日本のARGO(中層フロート)関連の研究の第1人者で、鋤柄さんは以前東北大にいて一緒に仕事をしており、現在もARGOで観測したモード水での酸素とクロロフィルから混合速度を求めた面白い論文を書いている。
夜は3人で風来坊に。須賀さんといえばお酒ではいろいろと有名な人物だが、ビールだけなら問題ないとか。楽しい話ができた。ビール以外でもその時は楽しいらしいのだが。偶然話題になったのがTurboMAPという乱流を測定する機械を作った東京海洋大の山崎さんと、研究船で海を学ぼうの東海大の加藤さんについて、実は二人とも私がアメリカでテキサスA&M大の大学院に行った時にお世話になった。山崎さんはちょうど私が行った時にA&Mの海洋工学を修了し、加藤さんは私の1週間後にA&Mの海洋に来て、毎週のように家に呼んでもらった関係だ。実は日本の海洋は本当に狭い世界だ。
2011年1月6日木曜日
博士予備審査・新年会
1月5日の新年早々、博士予備審査の一人目はSCT君だ。審査員は私の他、三野助教と中村教授、そして北大水産の平譯準教授にお願いした。論文は Estimation of Primary Productivity in Tidally Dominated Turbid Water of Ariake Bay, Japan: A Bio-optical Approach (潮流の強く高濁度域である日本の有明海の基礎生産の推定:生物光学的アプローチ)というタイトルで、前半がすでにECSSに発表しているFRRF法と炭素法の基礎生産の比較と、1回のFRRF測定から24時間の基礎生産の値の決定法について、後半が現在投稿準備している衛星SeaWiFSデータを利用したVGPMによる有明海の基礎生産の推定法についてである。FRRFや衛星を利用した基礎生産の推定手法が濁った有明海にも当てはめられそうだというのは正直驚きだ。有明海では濁りが減少しているが、それによって、今回のデータやモデルで考える範囲では基礎生産は増加傾向にあるはずだ。やはりこれが赤潮と関係しているのかもしれない。
思ったよりも質問が多く、発表と質疑あわせて2時間近くにわたったが、無事に終わった。この調子で本番も、それから北大に出しているPDも決まってくれるとよいのだが。
せっかく、平譯君がきたので、夜は三野君、鋤柄さんと4名で新年会を。まだ新年ですいていそうなのでトリトリ亭へ。キープのボトルを飲み終わるまで結構飲んだ。
前回誰が書いたんだ?
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