2010年6月7日月曜日

東シナ海研究集会

研究集会「東シナ海の大気海洋相互作用と生物基礎生産」

2010年6月7日に地球水循環研究センター会議室において標記の研究集会を開催しました。この研究集会は、名古屋大学地球水循環研究センターと九州大学応用力学研究所とで共同で行なっている東シナ海の生物生産への長江希釈水の影響に関する研究の状況をまとめ、2010年7月に予定されている東シナ海航海の計画を策定する目的で行ないました。また、同海域で西海区水産研究所と国立環境研究所が行っている研究についても発表してもらいました。参加者は学外7名(うち九州大学4名、国立環境研究所2名、西海区水産研究所1名)、学内11名の18名でした。

 前半は、地球水循環研究センターで進めている衛星リモートセンシングによる沿岸環境の研究として、海面高度計による流動場の把握(森本)と海色による植物プランクトンの季節・経年変動の把握(山口)、九大応力研が行っている定置網による対馬海峡から日本海中部における低塩分水の把握(千手)と、国立環境研究所が行っている長江起源の赤潮の輸送に関する生物(越川)および物理(東)的な研究、西海区水産研究所が行っている甑島から長江河口のCK線での観測結果(長谷川)の紹介をしてもらいました。

 後半は、長崎大学の練習船長崎丸を利用した名古屋大・九大・富山大の共同調査の内容で、栄養塩と植物プランクトン色素(石坂)、クロロフィル極大の挙動(遠藤)、漂流ブイ観測と表層発散(松野)、海底乱流混合層と物質輸送(吉川)、海底湧水と大気からの栄養塩供給(張)の話題提供がありました。

夏季の東シナ海表層には、長江から流入した淡水起源の長江希釈水が存在し、この水の存在によって、表層に長江起源の栄養塩がなくなった後も、基礎生産を支えるのに充分な供給が行われる可能性があるのかどうか、様々な角度からの議論がありました。これをもとに、7月に予定されている主に韓国経済水域内で行う日中韓共同の観測について計画を策定しました。

7月の航海は、韓国、中国の人も交えて、韓国の経済水域内で観測を行う予定で、今回計画の大筋を決めた。しかし、まだ韓国からの正式な許可が下りていないのが心配である。

今回の懇親会は前日の晩に世界の山ちゃん栄店に有志でいった。