2010年3月11日木曜日

黄海生態系シンポジウム


 3月11日に今度は韓国国立水産科学院主催の黄海生態系シンポジウムに招待され、全羅北道の群山大学に来ている。以前のYLSMEは韓国国立海洋研究院が中心で、ある意味似た部分もあるが、仕方がないだろう。日本人は一人で、中国人としてYSLMEにも来ていた、国家第1海洋研究所のMigyuan Zhu博士とZuelei Zhang博士が招待されていた。

 こちらは韓国の政府ベースで行なっている海洋環境モニタリングプロジェクトの報告会で、韓国・中国が政府レベルで黄海以外も含めて海洋環境に関してどのような活動をしているかがある程度わかった。両国とも非常によくやっており、日本を海洋国とどうしていえるのか疑問に思うほどであった。たしか、韓国周辺で密に定常的に行なわれているモニタリングは、皮肉なことに日本がはじめたのだったと思う。気候変動の影響が問題になっている今、長期データが貴重であるのに、日本は費用削減で最近どんどんモニタリングが減少していることが本当に困ったものである。また、韓国・中国ですでに干拓に関してかなり問題意識があり、特に韓国では政府レベルで環境修復を含め対処が始まっていることには感銘を受けた。

 最後のパネルディスカッションで意見を求められたので、1)日中韓の協力強化の必要性、2)しっかりしたモニタリング体制がないと、何かを行なったり、起きたりしたときの評価ができないこと、3)里海の概念を広める必要があることを提案した。

 また、中国の国家第1海洋研究所には、韓国との共同研究センター(所長がZhu博士)があり、今度はインドネシアと共同研究センターを作ろうとしていること、フランスともその動きがあるとのことであった。中国も着実に海洋研究外交を進めており、このようなことも日本の遅れが気になる。

 今回は韓国宮廷料理を食べさせていもらった。素材の組み合わせを大切にした料理でまさにチャングムの世界である。

 これで1月から続いた海外出張の嵐も一区切りだ。