2010年9月30日木曜日

湿地の生態系保全と都市開発の国際比較

30日の午前中は、GCOEの基礎環境学講究の「湿地の生態系保全と都市開発の国際比較」に参加した。土木系の水谷先生と川崎先生が、海面上昇と海岸の浸食、干潟の意義、磯焼けと森林、浚渫土の処分、潮汐、赤潮・青潮などの説明をしてくれ、質疑応答をした。 名古屋港で航路の浚渫土の処分に困っているということは初めて知った。日本語がわからない学生がいるので英語を交え、また分野も違う学生がほとんどなので、コーディネータの山下先生もなかなか大変である。海のことに関して、あまりに知られていないことは困ったものである。

2010年9月28日火曜日

筑波大学の湖沼リモセン

9月28日は筑波大学の福島さん、松下さんが環境省の推進費で行っている「リモートセンシングを活用した水域における透明度分布の高頻度測定手法の開発」のアドバイザリー委員会に出席した。福島さんとはメールでやり取りしてはいたが、実際に仕事の内容を聞くのは初めてだ。陸水と海洋という違いはあり、用語がやや異なっていたりしたが、内容的にはわれわれがやりたい研究と非常に近く、とても勉強になった。基礎的なことから、応用まで幅広く、かつしっかりやっていて、今後ぜひ協力していきたい。

2010年9月25日土曜日

尖閣諸島

尖閣諸島周辺で逮捕された中国漁船の船長が釈放された。検察の判断だということで、菅総理自体がそれを認めて、政治判断がなかったと言ってしまっている。領海問題はないという姿勢をとることはわかるが、今回の対応は中国への譲歩を世界にむけて発信してしまっている。中国は日本の政治の不在さを見て、このタイミングで攻めていることを政治家はわかっていないのだろうか。以前はわれわれも自由に観測ができた範囲の近くにガス田開発が始まり、いけもしなくなっている事実をどう考えているのだろうか。韓国ではそれを見越して、中間ラインに観測塔を複数たてることで、主張をしっかりとしているのと対照的な日本の対応には本当にがっかりする。

2010年9月24日金曜日

AH君博士審査

前任の才野さんから引き継いだ留学生のAH君の博士論文審査公聴会が終わった。相模湾の硝酸塩の表層鉛直分布を水温、塩分、クロロフィルで求める手法を開発し、それを自動昇降式ブイのデータに当てはめ、その変動要因についてまとめた。教授が変わったことで互いにやや苦労があったが、前半はLa Merに受理され、後半も投稿中である。彼はインドネシアの海洋漁業研究所に職がありそこへ帰るので、今後も何らかの付き合いができるとよい。夕方は、船で余ったお酒ががたくさんあったので、久しぶりに研究室でピザと手羽先でパーティをした。

2010年9月21日火曜日

三河湾の物質循環健全化

21日に(株)イデアの人の平野さんと風間さんが来た。三河湾の物質循環の健全化に関する環境省のプロジェクトの委員会への参加への打診だ。水質浄化にはこれまで栄養塩の規制だけを行ってきたが、それだけでは赤潮は減っても貧酸素が減らない状態が最近報告されている。おそらく、周辺の干潟等がなくなったことや、海底に有機物がたまっていることがその理由と考えられる。海洋の物質循環はどのような状態が好ましいのかを考えるために、環境省が公募で三河湾を含め3箇所を自治体と一緒に研究する試みだそうだ。何を健全な物質循環と考えるかが重要なポイントだと思うが、最新の科学的知見とモデルを利用して考えていく必要があるだろう。まだ、うちの研究室では三河湾の研究は、伊勢湾とともにM1のTO君が始めたばかりだが、このようなプロジェクトに参加できることは楽しみだ。
 今日はそのほかに、HA君の博士論文発表の練習、COP10に関係して京都大学の白山さんが名古屋大学で開催する海洋生物の多様性シンポジウムの打ち合わせのために原田さんがきた。

2010年9月18日土曜日

NOWPAP FP meeting

9月13, 14日は富山でのNOWPAP CEARACフォーカルポイント会合へ。
ここでは、今後のCEARACの活動を議論したが、中国、韓国、ロシアにある別のRegional Active Center (RAC)の状況やRegional Coordination Unit (RCU)の活動に関しての報告もあった。それぞれのRACの活動状況はばらばらで調整が必要であることは大分認識されてきたようだが、本来その調整組織であるRCUはどうも、その調整でなく、また独自の路線を打ち出しているようなところがあるのは気になる。組織というのはやっかいである。この海域は最近の尖閣諸島の問題を含め、政治的に大変な海域である。環境に関しては、その意味でしっかりした国際協力が進められればと思う。RACとしては、日本のCEARACはよくやっていると思うのだが。
リモートセンシングやHAB、両方が関わった富栄養化などはずっとやってきているのでそれなりの実績があるが、今度やろうとしている生物多様性はいま一つ焦点が絞れておらず、各国からも評判が悪い。COP10絡みで急に始まったところがあるが、富山湾周辺での住民の意識調査などは面白い。生物多様性での環境調査とするから問題で、生物多様性のための環境調査とするべきなのかもしれない。
2日目は早めに終わったので、富山大の松浦さんのところへ。松浦さんとはアメリカのテキサスA&M大学で一緒になり、その後つくばでも一緒だったので、家族ぐるみで大変お世話になった。富山に移動されてからあったのは初めてだ。奥さんとは私が長崎に行ってからだから10年ぶりだろう。学生さんがNOWPAP関係の富山湾プロジェクトのデータをまとめているとのことで、今後淡水の挙動などで一緒に研究をすすめていこうと意見があった。
ホテルは最近いつも泊まっているドーミーイン富山だが、ここも黒湯温泉だった。蒲田ほどではなく、湯船のそこはよく見える。懐かしい人と富山の酒を飲んだ後のお湯もよい。15日は別件で東京のため、また朝早い。

第4回PEACE

9月11日、12日にPEACE(Program of East Asian Cooperative Experiment)と呼ばれる主に九大応力研がはじめた、日中韓ロの縁辺海の共同研究を話し合う集会に出席した。前回はウラジオストックであったが、4回目の今年は韓国の江陵(カンヌン)のカンヌン大学で開催された。カンヌンは朝鮮半島の日本海側の中央で、ソウルからバスで4時間ほどかかる。韓国でも背中の手が届かないところといわれているらしい。http://atmos.kangnung.ac.kr/ch/peace2010/Peace4.htm

今回は私も共同議長をしているPICES/CREAMS-APのEAST-IIセッションを開催することとしたが、こちらの準備も充分でなかったし、オーガナイザーともいろいろ意思疎通に問題があって、充分共同研究について話ができたわけではなかったが、韓国・中国の一部研究者と話し合う機会にはなった。私自身は東シナ海での国際共同研究の例として、YSLMEでの衛星アルゴリズム開発、対馬海峡のフェリーモニタリング、長崎丸での調査の話をした。富山大の張さんたちはやはりCREAMS-APのEAST-Iの活動と位置づけられている白鳳丸の日本海航海の結果を議論していた。
今回よかったこととしては、中国の国家第2研究所で黄海の基礎生産に関して衛星を使って研究してるHaoさんと会えたことだろう。SeaWiFSのデータを補正しながら使っている点はわれわれと似通っている。院生のHY君のやっている内容も早く論文にしていく必要がある。Haoさんの指導教員のNingさんは非常によい人だったのだが、昨年交通事故でなくなったそうで、大変残念である。あと、名古屋大の同じセンターの森本さんとは、同じホテルだったのゆっくり話ができた。普段同じところにいてもばたばたしていて、外ででないとゆっくり話しができないのも困ったことだ。でも、院生のTT君の修論の件で協力を頼めた。
リゾートホテルに泊まったはずなのだが、ほとんど雨で周辺も見れなかった。韓国水産研究院の日本海分室もこちらにあり、知っている人が何人もいるはずだが、声を掛け損なったのもちょっと残念である。また来る機会を作りたい。
2日目半ばでまた4時間かけてソウルへ、金浦空港から羽田空港へ23時ごろへ着く。次は富山でNOWPAPの会議のため、朝早く出るので、蒲田の末広ホテルへ。ここは黒湯温泉という、われわれの用語で有色溶存有機物(CDOM)のお湯だ。特にここは濃く透明度が10cmもない。以前も一度泊まったが、客も少ないので、やや不気味なのだが、気持ちはよい。