2010年11月28日日曜日

伊勢湾・黒潮観測

11月24日から28日まで三重大学の勢水丸で、伊勢湾と黒潮の観測を行なった。三重大学の石川先生、田口先生の研究室の航海で、主に当初予定の黒潮の観測に、伊勢湾と三河湾の観測点を加えてもらった。研究室からはTO君とXYJ君と私の3名が乗船した。
われわれは主に衛星データ検証と今後より精度のよい方法の開発のために、海の色とともに、表層水の植物など光を吸収し、色を決める物質を測定した。その他に、京都大学の研究に必要な長波長側の光の量も測定した。その他、堆積物や基礎生産の測定が行われた。特に黒潮の観測については、当初から揺れることが予想されていて、確かにもっとも沖の点では揺れたために、表面採水だけでもどってきた。
途中、勝浦に寄港し、温泉とマグロ、そして熊野古道を楽しむことができた。
このような機会を与えてくれた三重大学には感謝するとともに、今後もぜひ利用させてもらいたい。

勢水丸のマストにはイセエビが
勝浦ホテル浦島前の勢水丸

2010年11月14日日曜日

第1回三河湾委員会

11月12日は以前打診のあった環境省の海域の物質循環健全化計画の中の三河湾地域検討会の第1回があった。この計画では、日本の沿岸域での栄養塩の循環を陸域と海域一体としてそれぞれの海域ごとに管理し、生物多様性に富んだ豊かで健全な海域にするために、まず3つのモデル海域で栄養塩の循環の理解のもとに具体的な行動計画をヘルシープランとして策定することを目的としている。ここで「ヘルシー」とは「再生産可能な生物資源を生み出す海の仕組みが健全であること」としている。

このような管理のためには、それぞれの海域の特色を理解することが大切であるが、そのためのモデル海域として公募で三河湾、気仙沼、播磨灘北東部を選定している。三河湾はある意味これまで比較的よく研究されている海域で、委員長の東海大の中田喜三郎さん(私の資環研時代の上司)や委員の名城大の鈴木輝明さん(前愛知水試場長)がいろいろやってきている。その中で、三河湾の問題点は植物プランクトンの一次生産が高次に円滑に伝わっていないことで、本事業の調査として、微小植物プランクトンの現存量の推定、形態別の栄養塩の把握、底性生物の面的な分布の把握などを課題と設定していた。
確かにこれまで研究は行われているとはいえ、これらの点はまだ情報が少なく、これを機会に情報収集する必要が必要である。また問題はどの程度現実を表すようなモデルが作成できるかも重要である。またモデル海域として進める分にはよいが、今後各海域で健全化を目指すうえではモニタリング体制等、しっかりとした管理体制が必要となるであろう。まだわれわれの研究室では伊勢湾・三河湾の研究ははじめたばかりであるが、この事業ともうまく組んで進められればよいと思っている。
またこの委員会についておどろいたこととして、この委員会が一般公開されているということで、参加も自由だし、議事録等も公開されるようだ。このような情報公開は確かによいことであろう。

2010年11月5日金曜日

新人歓迎会

11月5日に博士課程の中国からの新しい留学生XYJさんの歓迎会をやった。彼は昨年8月にソウルで行なったPICESの衛星リモートセンシングの講習会の学生の一人だった。その後、大気水圏の国費留学生に応募してきた。エチゼンクラゲのことをやることになっており、すでに結果を出しつつあるので、これからさらに期待したい。残念なことは中国の研究所を辞めて来ざるを得なかったことだ。しかしそれだけの覚悟があるということで、日本の学生にも見習ってほしい。

いろいろあったが無事博士をとったインドネシアのAH君は、今回は都合がつかずもうすぐ帰国する。帰国しても頑張ってほしい。

長崎からつれてきた博士3年のTS君、HY君、ST君と修士2年のTT君はいよいよ最後のスパートに入ってきた。博士の3名はそれなりに仕事をしているし、TT君もこのところ森本先生と仕事を進めているので結果はでそうなので、頑張って面白くまとめてもらいたい。

予約が直前になったので、人気の定番トリトリ亭と安さのトリノスケは取れなかったので、スリランカ人のやっているエーガ屋にいった。飲み会は初めてだったが、スリランカ料理が出なかったのが少し残念。でも私も学生値段にしてくれ、料理もおいしく満足。

2010年11月1日月曜日

PICES-2010

10月21-31日はアメリカのオレゴン州ポートランドであったPICES(北太平洋海洋科学機構)の2010年総会に参加した。
手前が鉄橋、向こうに会議場が見える。

期間が長いが今回はフルに出席となった。まず韓国人、ロシア人と共同議長をしているCREAMS-APがあり、またレポートをまとめる立場に。東シナ海の共同研究をどう進めるかが私の大きな課題だが、PICESの期間を通じてはむしろ日本海呼称問題の話題が多かった。韓国が主張してPICES内ではJapan/East Seaがよく使われるが、今になって日本の外務省が反論をしている。そのためもあったのか今回配布されたStatus Reportには日本海のセクションがなく、これは非常に残念である。Google scholarで見ると最近Japan/East Seaの使い方が急激に増えており、これはPICES内を初め韓国人が多く仕事をしていることが大きい。私もPICESがらみのKYさんの論文が韓国人の共著者がいたためにJapan/East Seaを使ってしまった。歴史的には当然Sea of Japanが世界共通認識のはずだが、韓国人と仲良くやるために仕方がない時もある。しかし、日本政府の外交という意味ではもっと強くいってほしい。

いろいろと面白い発表があったが、一番記憶に残ったのが中国の人が黄海でダストを添加する培養実験で生産が上がる可能性について述べた発表であった。黄海のように底層からの巻き上がり多い海域でこのようかことがあるのか、実験に使ったダストも大量のようだし、やや疑問を感じた。また日本の何人かがいろいろなセッションで複数発表していることは驚いた。今回自分では発表をしなかったが、学生のHY君とST君がポスター発表をした。特にHY君はポスターで賞をもらい大変よかった。
ポートランドというだけあって、比較的内陸に入ったところではあるが、川を大型の船が上ってくる。それで世界で初めてという錘によって橋桁の上がる鉄橋がシンボルとなっていた。今回会議のあった会議場もその橋にちなんで二つの塔をあしらった面白い形だ。ポートランドは小さな町で、私はダウンタウンをはさんで会議場反対のホテルだったが、毎日川沿い30分歩いて気持ちよかった。人もとてものんびりしていて、安心そのもの、見知らぬ人同士気軽に話しかけるところもよい。アメリカには大学院時代に5年間もすごしたが、北西部に来たのは初めてで、その違いには驚かされた。

2010年10月10日日曜日

伊勢神宮


10月10日に研究室で伊勢神宮に旅行に行った。9日の雨とは打って変わってよい天気。名古屋駅からバスに乗ったが、連休の合間ということもあり、渋滞で1時間ぐらい遅れた。お参りは後にして、まずはおかげ横丁のすし久で名物「てこね寿司」を。店内は込んではいたが、奥が広くゆったりと座れる。てこね寿司は鰹の醤油漬けを酢飯に乗せた漁師料理とのことで、家でもつくれそう。

お腹がいっぱいになったところで、内宮のお参りに。宇治橋を渡り、神苑を歩いていると鹿が出た。五十鈴川に御手洗場もあるが、先日の雨のためか流れが強く、ロープが張られていた。手水舎で清めて先へ。太い木が並ぶ。石段を登ると御正宮、お参りをすると、心地よい風が吹いて、神様の声のよう。風日祈宮橋は新しく、木の香りが気持ちよい。そういえば御正宮の屋根の上の木は鰹木と呼ばれるそうで、ここにも海があった。


2010年10月9日土曜日

新学術領域打ち合わせ

10月8日は科研費の新学術領域「気候系のhot spot: 熱帯と寒帯が近接するモンスーンアジアの大気海洋結合変動」の磯辺班「縁辺海の海洋構造に励起される大気海洋相互作用と海洋生態系への影響」の打ち合わせのため福岡の九大応力研へいった。
愛媛大の磯辺篤彦さんを代表に、分担者の郭新宇さん、鹿児島大の中村啓彦さん、九大の広瀬直毅さんに、連携研究者の私と北大の中村知裕さん、長崎大の万田敦昌さんに、九大の山本勝さんが集った。生物海洋学の私以外は海洋物理で山本さんは気象が専門だ。
全体的には中緯度域の海洋が気象にどのように影響を与えるかが中心で、この班は特に東シナ海と日本海を対象としている。また、私は今年は連携で来年からは分担者となるが、気象が海洋生態系へ与える影響に関しても行うということで、タイトルに海洋生態系が入ってややプレッシャである。
気象が海洋生態系に与える影響ということでは、すでにエルニーニョが日本海の一次生産に与える影響や、台風の影響に関しては私も研究を行っている。今回の話で、さらに冬の季節風の黒潮周辺の生産への影響などの研究の方向が可能性として上げられたので、これは確認してみたい。
また、最近よく二酸化炭素やエアロゾル以外に海洋生態系が気象に与える影響がないかということを聞かれるので、最近目にした植物プランクトンの存在が台風の経路を変化させる可能性の論文を紹介した。ここでは植物プランクトンがいることで、表層水中の熱の分布が変化することで起こる可能性が示唆されている。以前私も植物プランクトンの存在で赤道湧昇が強化されるという中本さんの論文に名前を加えてもらったことがあるが、海洋だけではなく気象への影響の可能については非常に興味のあるところである。ただどうアプローチするのか、なかなか難しい部分もある。
おどろいたことは、この班の中で私が一番年上で、この研究計画全体でも50代以上が少なく、ほとんど40代、30代だということだ。海洋と大気両方の分野の人が入っていることとあわせ、この研究の強みであろう。
一方、私が台風の研究を行ってきた特定領域研究「大気海洋物質循環」今年度で終わるが、この後継プロジェクトの申請でも声がかかったが、すでにこちらに約束をしていたので入れなかった。そちらは生物が中心なので、やや残念な面もあるが仕方がない。
終わってから天神で、鯖のおいしいお店にいった。福岡の胡麻鯖は鯖の種類ではなく、料理の名前であることを初めて知った。

2010年10月6日水曜日

卒業生からのメールと新旧留学生

長崎大時代の2年目の卒論生のHKさんから久しぶりにメールが来た。卒業は10年前だがその後も頻繁にメールをくれ、昨年は結婚式にも呼んでもらった。今回は育児に専念するために会社を辞める報告だ。彼女であれば会社も残念だ自然ろう。でも仕事はいつでもできるので、育児を楽しむという前向きさは彼女らしい。
同じ代にはMOさんがいるが、彼女は二人の子供を育てながら自然体験活動推進協議会のインストラクターとして活躍しているようだ。
彼女たちからは、学生の時にも、その後もいつもこちらが元気をもらっている。

今日は晴れて留学生のAH君の修了が教授会で承認された。まだ少しの間はこちらにいるようであるが、残された日本の生活を楽しんでほしい。また今日は中国から新しい留学生のXYJ君がきた。新婚のお嫁さんを中国に残してきたらしいが、こちらにもはやく日本の生活になれて、楽しんでほしいところだ。